世界ナンバー1のスポーツカーを目指した日産フェアレディZ 300ZXの記憶[driver 1989年3-20号より]

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自動車雑誌ドライバーが過去に取り上げた記事が今に蘇る「DRアーカイブズ」。今回は1989年7月に発売された「フェアレディZ 300 ZX」、1989年3-20号に掲載した記事をプレイバック!

◇◇◇以下、当時原文ママ◇◇◇

1990年代のスポーツカーを目指して、フェアレディZが北米でひと足早くフルモデルチェンジ。GT的なカラを脱いだNEW 300 ZXのスタイル、パワースペックに、もう今から興奮してしまう。

【画像】低い!フェアレディZ 300ZX

■興奮を演出するピュアスポーツ

ついにベールを脱いだNewフェアレディZ、300 ZXは、期待どおりのハイポテンシャルマシンだ。Z31までのフェアレディZはGT的色合いが強かったが、New 300 ZXは明確にピュアスポーツを指向、1990年代に求められるスポーツカーのあり方を具現化している。

New 300 ZXのボディは、2シーターと2 by 2の2種。エンジンは222馬力/27.4㎏mのVG30DE。駆動方式はもちろんFRだ。サスペンションは“4輪マルチリンクサス”が採用されている。

開発のメインテーマは「興奮の演出」。なぜなら、見る、触れる、乗る、走る--すべての場面において、乗り手を興奮させることこそ、スポーツカーのだいご味、存在理由だからだ。そして、New 300ZXが目指したものは“1990年代の世界No.1のスポーツカー”。伝統あるZのイメージ、遺産をかなぐり捨ててまでも、世界第一級のスポーツカーの仲間入りをしようという意欲作だ。

その意気込みは、ダイナミックかつタイトなスタイリングからも、ひしひしと伝わってくるだろう。ボディ寸法は、全長4305㎜×全幅1790㎜×全高1255㎜(2シーター)と、ワイド&ローそのもの。全幅1700㎜の小型車枠にもまったくこだわっていない。

ディメンションもガラリと変わった。2シーターの場合で言うと、全長が100㎜短縮されたうえにホイールベースを拡大(2320㎜→2450㎜)し、前後のオーバーハングを切り詰め、全高をダウン(1295㎜→1255㎜)、キャビンも前方に移動した。トレッドは前40㎜、後60㎜拡大し、1495㎜/1535㎜のワイドスパンを達成。以上の根本的な改革により、走りのポテンシャルが大幅に引き上げられたことは言うまでもないだろう。

このディメンション変更は、New 300ZXに、美しくしなやかで、なおかつ敏しょうな獣をイメージさせる躍動的なフォルムを与えた。60度スラントの異形レンズ&プロジェクター式ヘッドライトを持つフロントまわりは低く、滑らかなラインを描いてアーチ型のルーフサイドラインを持つキャビンに連なる。

サイドビューは、ダイナミックなウエッジシェイプ。大きくえぐられたホイールアーチ内には、225/50R16・91Vタイヤ+5本スポークアルミホイールが納まり、穴開きベンチレーテッドディスクを見せる演出も施されている。リヤは、高めに持ち上げられたバンパー下にはデュアルエキゾーストパイプが両側に突き出し、ボディ下にはデフケース、リヤサス、マフラーなどをのぞかせるデザインだ。



■洗練度の高いインテリア

ボディカラーはイエロー、2コートパールメタ、レッド2コートパールメタなど計11色を用意、CD=0.31(リヤスポイラー付き)の躍動感あふれるフォルムを引き立てる。内装色はオフブラック、ホットレッド、ブラウン、ブルーの4色が外板色に応じて設定される。

インテリアは爽やかですっきりしたデザイン。室内全体に連続感がみなぎり、乗員を適度なコックピット感覚で包む形状だ。ことにインストルメントパネルからコンソールへと続く面は、組み立て作業を難しくするにもかかわらず、可能なかぎりパーツを大型化、クリーンな造形を生み出している。なお、New 300ZXは、製造に関しても開発部門と製造部門の連携強化、熟練作業者の配置など4項目の商品質確保策を実施しており、こうした全部門をあげてのクルマ造りの成果が随所に見受けられる。

シートはメッシュ調のジャージーを採用、コンソール、ドアトリムともコーディネートを図っている。このあたりは従来のスパルタン一点張りのデザインから抜け出した近未来的感覚と言えるだろう。オプションで本革シートも用意されている。

なお、すべての性能の基本となるボディ構造は、Tバールーフという剛性の確保が難しい形状にもかかわらず、Z31に比べ、曲げ剛性で35%、ねじり剛性で20%アップを達成。しかも、車重は現行車並みの1460㎏(2シーター)にとどまっている。

■4輪マルチリンクサスで高次元の走りを追求

エンジンは60° V6・3Lツインカム24バルブのVG30DE。ボア×ストローク87.0㎜×83.0㎜は、Z31と同一だが、シリンダーヘッド、ブロック、クランクシャフトに至るまですべて新設計。この基本構造に加えてツインスロットル、ツインインテークコレクター、ツインエキゾーストチューブ&マフラー、ダイレクトイグニッションシステムNDIS、吸気バルブ可変タイミング機構NVCSなどを採用、プレミアムガソリン対応で222hp/6400rpm、27.4㎏m/4400rpm(SAEネット)を発揮。NAならではの十分な低中速トルクに支えられた好レスポンスと、余裕ある出力がもたらす豪快な走りは、New 300ZXならではのものだろう。

ミッションは、ダブルコーンシンクロの採用によりシフトストロークを約30㎜短くした5速MTと、フルレンジ電子制御4速のE-ATを設定。E-ATには、変速性能と燃費を向上させるエンジンAT総合制御システムを搭載。駆動系では、パワーロスを防止し、旋回性能を高めるビスカスLSDを標準装備する。

サスペンションは4輪マルチリンク方式。マルチリンクリヤサスの優秀性はすでに定評あるところだが、これをフロントにも採用、高次元の走りを追求している。アッパーリンクを高い位置に配置し、ツイステッドアッパーアームで支持、さらにアッパーアームとキングピン軸を独特の形状を持つサードリンクで結合。直進性と旋回性能を同時に高めるとともに、フラットライドな乗り心地を獲得している。

ステアリングはバリアブルパワーアシスト機構を備えた電子制御ダブルチョーク式車速感応パワステで、リニアな操舵感とインフォメーションを重視。ブレーキは軽量(フロント3.4㎏、リヤ1.8㎏)な4ピストンアルミキャリパーを採用した4輪ベンチレーテッドディスクで、アンチスキッドブレーキ4WASが標準装備される。

そのほかの装備では、エアコン、AM/FMカセット、パワーウインドー、ASCD、パワードアロック、盗難防止装置などが標準と発表されている。

〈まとめ=ドライバーWeb編集部〉