現実的にはそうなるのだろう。
 日本代表の森保一監督が、J2リーグからの選手の招集は難しいとの見解を示した。J2の清水エスパルスに在籍する権田修一に関連したものだ。

 日本代表は3月24日と28日に、カタールW杯後初のテストマッチを戦う。J1リーグは同時期に試合が行なわれないが、J2は25、26、29日に第6節が行なわれる。

 権田が在籍する清水は、29日にホームでザスパクサツ群馬と対戦する。代表戦を終えてチームに戻ることは可能だが、前日までの練習には参加できない。監督からすれば、セットプレーの確認ができていないGKは使いにくいだろう。

 J2からの選手招集については、昨年も話題になったことがある。7月下旬開催のE―1選手権を前に、横浜FCの小川航基がJ2リーグで得点を重ねていたのだ。

 東アジア地区の大会であるE―1選手権は、国際Aマッチデイのカレンダーと重なっていない。代表チームは国内でプレーする選手のみで構成され、小川を呼ぶ余地はあった。

 森保監督は19年のE−1選手権で、小川を招集したことがある。その後はケガの影響などでパフォーマンスを落とし、東京五輪出場を逃した小川だが、世代のエース候補と呼ばれた選手である。昨夏のE―1選手権は、代表に復帰させるタイミングとして申し分なかった。しかし、森保監督はJ2からは呼ばないとのスタンスを明らかにした。

 そのE−1選手権では、J1の湘南ベルマーレで結果を出していた町野修斗が、相馬勇紀と並んで得点王となった。前線では横浜F・マリノスの西村拓真や水沼宏太も存在感を示し、13年以来の優勝を勝ち取った。小川を呼ばなくても、チームとして十分に機能したのだった。

 日本のGK陣を見わたすと、海外ではカタールW杯代表のシュミット・ダニエルに加え、中村航輔がポルティモネンセで定位置をつかんでいる。国内では東京五輪代表メンバーの谷晃生、大迫敬介、鈴木彩艶らがいる。権田を招集できなくても不足はない。

 J2所属選手の代表招集では、香川真司が思い出されるだろう。08年5月、当時J2のセレッソ大阪でプレーしていた19歳は国際Aマッチデビューを飾った。

 ただし、日本代表のラージグループ──監督の構想に入っている選手の総数──が、当時といまでは明らかに違う。香川のデビュー当時は海外クラブ所属の代表選手が中村俊輔、松井大輔、長谷部誠の3人だけだったが、現在は海外クラブ所属選手だけでチームを編成できる。GKもシュミット、中村、それに小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)が、海外クラブに在籍している。

 海外クラブとJ1のクラブに所属している選手で、チームを編成することはできる。それならば、J2からあえて呼ぶ必要はないだろう。権田を欠いた清水が敗れるようなことがあり、その敗戦が原因でJ1復帰を逃すようなことになったら、清水にも、権田にも、日本代表にも不利益だ。

 日本代表に入りたいのであれば、J1のクラブで結果を残してほしい──選考基準としては分かりやすい。J2でプレーしている選手も、モチベーションがはっきりする。それは、権田も例外ではないはずだ。