加藤博義氏は「ボクらは評価ドライバーとしてこのクルマの『素』を知り尽くしているだけに、クルマを全部バラしてグループAのロールバーを組んでテストコースを走ってみると『こんなに剛性が上がるのか』ってびっくりしました。当時は車体剛性感とかモノコックの剛性感なんて概念がなくて『これは凄い』と。だからR33の開発でも乗るとすぐに分かっちゃうんですよね。『ここは弱い』というのが。33にはボディを補強するためにいろんな棒や板が入っているんですけど、あれはまさにこのクルマのノウハウが生きています。N1耐久で知った剛性の概念が33、34GT-Rまでつながっているのかな」と、N1参戦の意義を語った。

「評価ドライバーとしての能力を鍛えてくれたのがこのクルマです」と想い出を語るのは、R35GT-Rの開発ドライバーでもある松本孝夫氏。初戦の筑波ではクールスーツを着用せずに猛暑のなかを走り抜いたという。「32GT-Rで初めての海外出張、それもニュルブルクリンクを走って。その後も34、35の開発でニュルに通って。そういう意味ではR32が第二世代GT-Rの原点であり、第三世代のR35にもつながっている。そのクルマが動態保存されることは、とても意義のあることだと思います」と再生作業への期待を語った。

作業期間は2021年12月から2022年6月まで。車両分解の後に各部品の修復とオーバーホールを行い、4月頃に復元。大型連休明けの5月からエンジン、ミッション、パワートレインの搭載と内外装の仕上げ、6月に確認走行と調整を行い、完成を目指す。作業に携わるメンバーの間でもR32の人気は高く、レストア作業に熱が入りそうだ。

〈文=湯目由明 写真=澤田和久〉