日本テレビ(2021年2月、時事通信フォト)

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 8月21日夜、今年も「24時間テレビ 愛は地球を救う」(日本テレビ系)が放送されます。今年のテーマは「想い〜世界は、きっと変わる。」でメインパーソナリティーはKing & Prince。コロナ禍ではあるものの、東京・両国国技館から生中継され、恒例のマラソン企画も行われる予定です。

 近年、同番組は高視聴率を集める一方で、「チャリティーの矛盾」「感動の押しつけ」などの批判が目立つようになっていましたが、そこにコロナ禍が加わったことで「なぜ、このご時世に人が集めているのか」という厳しい目が向けられました。

 しかも、今年は今月8日まで東京五輪が開催されたばかり。日本中の人々がリアルな感動コンテンツを目の当たりにした直後だけに「テレビ局が構成・演出する『24時間テレビ』は厳しい目で見られるのではないか」と不安視する声をよく聞きます。

 そんな状況下にあるためか、今回は例年ほど番宣も行われず、「放送1週間前あたりからようやく、King & Princeが各番組に出てPRを始めたところ」という印象がありました。これまで、視聴率で辛酸をなめ続けてきた他局にとっては逆襲のチャンスですが、どんな番組で対抗しようと思っているのでしょうか。

子どもと高齢者向けの番組がそろう

24時間テレビ」が放送される8月21、22日のゴールデンタイムを見ていくと、まず、21日はテレビ朝日が「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん 2時間SP 子供博士が選ぶ昭和歌姫!!」、TBSが「ジョブチューン ファミリーマート×超一流スイーツ職人&アレンジラーメンバトル」、テレビ東京が「激録・警察密着24時!!」、フジテレビが「芸能人が本気で考えた!ドッキリGP ドッキリも地球を救う4時間TVSP」を放送。

 子どもと高齢者を狙い打つような企画が目立ち、民放各局がメインターゲットにしている「コア層(13〜49歳)の視聴を獲得しよう」という意欲はほとんど見られません。

 続く22日はテレビ朝日が「ポツンと一軒家 以前訪ねた…ポツンと一軒家は今?2時間SP!」、TBSが「世界衝撃映像100連発」、テレビ東京が「世界が騒然!本当にあった(秘)衝撃ファイル 大どんでん返しSP」、フジテレビが「逮捕の瞬間!警察24時 熱血刑事が執念の追跡!コロナ禍の大捜査SP」を放送。

 こちらはさらに高齢者狙いの企画ばかりであり、「24時間テレビ」との真っ向勝負を避けるようなスタンスがうかがえます。前述したように、コロナ禍と東京五輪直後と「24時間テレビ」への逆風が吹く中、なぜ、民放各局は「戦わない」という消極的な姿勢なのでしょうか。

逆風下でも強い「生放送の特番」

 最大の理由は「逆風が吹いても『24時間テレビ』はまだまだ強い」と思われているから。もともと、生放送の大型特番はネットとの相性がいい上に、五輪開会式や閉会式がそうだったように「賛否の両面で注目されるのは間違いない」からです。

 また、昨年はジャニーズ事務所の各グループからの寄せ集め形式だったメインパーソナリティーを若手筆頭のKing & Princeに絞ったことも脅威を感じる理由の一つ。彼らのファンに「視聴率と募金の両面でサポートしよう」という動きがあるだけでなく、「日テレも『恥はかかせられない』と力を入れた企画を連発するはず」と見られているのです。

 一方、今回、各局が放送するグルメ、懐メロ、警察、ドッキリ、衝撃映像の特番は高視聴率こそ難しいところがあるものの、固定のファン層がいて、大失敗は考えづらいジャンル。つまり、「日テレの『24時間テレビ』に勝つのは難しい」という気持ちがあるから、「無難なジャンルで負けの幅をできるだけ少なくしつつ、別の週で勝負をかけよう」としているのでしょう。

 特にフジテレビは翌週の28、29日夜に初の大型特番「ラフ&ミュージック〜歌と笑いの祭典」を生放送するだけに、そこに力を注ぐ形になっているのは明らか。ドッキリ番組を4時間、警察特番を3時間にわたって放送するのは「翌週の大勝負に備えている」ようにしか見えないのです。

 もう一つ、ネット上で話題を集めそうなのは、NHK・Eテレで21日深夜に生放送される「バリバラ 2.4時間テレビ〜誰ひとり取り残されないSDGs〜」。“マイノリティーに最も注目が集まる日”の特番として今年で6回目の放送になりますが、今回はメンタリスト・DaiGoさんの発言が物議を醸した「貧困や差別を真剣に考える」という内容であり、「24時間テレビ」との比較も含めて、多くのツイートが飛び交うのではないでしょうか。