巨人・阿部慎之助2軍監督【写真:荒川祐史】

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「最後はイチローみたいに…」元巨人、侍ジャパンチーフスコアラーの三井康浩氏が解説

 巨人のヘッドコーチ代行を務める阿部慎之助2軍監督が先日行われた阪神戦の前に選手へ打撃練習の実演指導を行った。球団公式ツイッターで公開されると、軽々とスタンドインを披露し、周囲を驚かせたのだが、思わぬところで喜びの声が上がった。「子供たちに見せたい、教えたい映像です。お手本のようなバッティング」。元巨人チーフスコアラーで阿部ヘッド代行を入団時からよく知る三井康浩氏はこう話す。現在は少年野球の指導も行っているため、惚れ惚れするスイングに見入っていた。

 力感のないスイングから、大きな放物線を描き、スタンドへボールは運ばれた。「今、子供たちにスイングでフィニッシュの腕の抜き方を教えているところなんです」と阿部ヘッドの最後の振り抜く形が理想的だと言う。このようなスイングが身につけば、強く、そして大きな打球が飛ばせるようになる。

「(阿部慎之助は)体全体で回っているように見えますが、実はトップからインパクトでしっかりと手をローリングしている。リストターンと言うものですが、しっかり腕を返さないと打球は飛ばないんです。左打者ならば、右手と左手をインパクトで入れ替えるイメージです」

 分析のプロの視点だと、体で振っているのではなく、腕を4分の1回転させる“リストターン”で打球を飛ばしている。「なかなか難しい動きです。それをやると、腕が体から離れてしまう。どうしても前の肩が開いてしまいます。阿部2軍監督の場合は、ヘソの前でリストターンができるから、バットが抜ける。最後はイチローみたいにバットを上げて、スーッと抜く。肩甲骨に負担をかけないスイングです。負担かけると肩の開きにつながってしまうのでこの形がお手本になるスイングなのです」となかなか高度なテクニックだが、野球クリニックで指導する子供たちに理解してもらうため、噛み砕いて説明するように努力していく。

「最近、調子のいい阪神の近本選手がそういうバッティングをしていますね。教えるの難しいですが、ああいうバッティング覚えると強いバッターになる」と未来のプロ野球選手育成へ、三井氏は子供と一緒に汗を流している。(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)