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「ここは清潔」の区切りを設けていきましょう!

緊急事態宣言下の日本そして東京。わずかな買い物以外では出歩かない日々がつづいています。感染するようなことはないだろうけれど、もしもこれで感染したら一体何を疑えばいいのかと逆に不安になってきます。いっそ「2週間に1回は出社する」ということにでもなっていれば、いつどこで感染しても「出社だわー」と納得ができるのに。

もしもこの状況でも感染するとなれば、あと考えられるのは買い物だけ。スーパーという密集地帯で「直接クチに入る生野菜(レタス、キャベツ、大根)などが剥き出しで置かれている環境」「最後に必ず手で触れるポテチの袋」「直接クチをつける缶ビールの飲み口」といった経路に気づいてしまったら社会は大根乱です。「店内に入るのは予約制でおひとりずつ」「買い物時間は5分まで」「入退店時には全身アルコール消毒液噴霧」という世紀末スーパーを始めるしかありません。買わない商品に触れることは決して許さない監視社会の始まりです。

幸いなことに、現状そういったレベルまで「空気」は広がっていません。その人の過去2週間にひとつくらいは空いている「穴」を見つけて、「その食事会だわー」「その花見だわー」「その帰省だわー」ということで勝手に納得して安心してくれています。罪があるから感染するのだ、穢れていない私は大丈夫、と。できるだけその「空気」を守っていきたいもの。絶対安心追求派に買い出し感染の危険性を気づかれると、「あのマンションの住人が買い出しにきてるなんて!この店はもう汚染されておるぞ!」とパニックになってしまいますから。商品はめいめいが気になる範囲で家で洗いましょう。

ただ、いずれはそうなるのかなと思います。

この緊急事態がつづいても状況が好転しなければ。

より厳格に、より小さな穴を意識するようになるでしょう。

そのときに重要なのは「ここまでは穢れていますが」「ここからは清潔です」と確実に主張できること。早晩、「何もしなければ金が尽きて死ぬ」ターンが全員にやってきます。そのときに「清潔な範囲でやっております」と主張できることは重要です。ここからここまではダメだが、ここから先はクリーンである、と言い切れるだけの細かい区切り。可能なら「個人」の単位で接触をなくし、それが無理ならできるだけ小規模に区切る。そして互いに交流をなくす。「ひとり出た時点で全部汚染されてるのでは?」と突っ込まれないような仕組みを備えておく必要があるでしょう。

そんな備えをあらかじめ持っている集団、それが大相撲です。日常から隔離された「部屋」という牢獄での隔離生活と、身分制度を現代に残す厳しい階級社会。まさに区切り・区切り・区切りの連続です。プロ野球では藤浪晋太郎さんがいきよりましたら「阪神全部」が汚染地域となり12分の1が持っていかれてしまいましたが、大相撲は約40の「部屋」単位で区切られておりますので、相対的なダメージは非常に小さいものとなります。いかがわしい出稽古や、部屋の垣根を超えたモンゴル食事会といった「穴」を塞いでおけば、何かあっても「部屋」単位で切り捨てることができる。まるで最初からこういう事態に備えていたかのような仕組みではありませんか!

↓むむむ、ついにいったか!?大相撲もついに陥落したか!?

「力士は健康な身体の象徴」とは一体何だったのか!

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相撲界から初の陽性者かという報せにも、僕はまったく慌てていません。「部屋」というゾーニングが大相撲にはありますから。すでに出稽古などは取り止めているはずですが、よしんば出稽古があったとしてもそのグループの単位で隔離すれば、角界全体にまでは懸念は広がらないのです。そして、感染者が出た部屋も、キャベツと鶏肉をトン単位で放り込んだうえで部屋の外から板を釘で打ち付けまして、2週間…まぁ余裕をもって1ヶ月も部屋をロックダウンしておけば、その部屋も再び平常へと復帰することができます(あけたら全員死んでるかもしれないが…)。これは中世の暮らしを現代に引きずっていればこその強みです。

もしも本場所中にコレが起きていたら、支度部屋などを介して全体に汚染が広がっている疑いを晴らすことは難しかったでしょう。五月場所の際は、協会自ら「ひとりでも感染者が出たら場所中止」と言っていました。この場所のない期間も、部屋単位の暮らしではなく全員が協会に所属して「大相撲トレーニングセンター」とかで一斉に稽古をしている組織だったらと思うとゾッとします。ふー、危ない、危ない。部屋という牢獄に押し込めておいてよかった!

ぜひこの仕組みと対処はほかのスポーツ団体でも参考にしてもらいたいもの。何もしなければ倒れる、となったときに無観客試合の開催などの選択肢が上がってくるでしょうが、「ひとりの感染で全選手がもっていかれる」という状態では無観客試合の開催もままならないのです。誰ひとり感染しないなんてのは無理ですから。どれだけ気をつけても誰かは感染しますので、「誰かが感染したとき」に「ここから先は清潔」と言える仕組みをつくっておくことが重要です。

現状、プロ野球やJリーグでは「ひとり感染者が出たらチーム単位で排除」というかなり大きな区切りしか見い出せません。それでは「阪神は全員がクリーンになるまで強制的に0-8で負け」みたいなリーグ戦をやるしかありません。ただ、これが1軍・2軍で完全に環境を隔てていたり(昇降格時は2週間の隔離)、野手と投手で練習環境をわけていたりすれば、「阪神全体がもっていかれる」は避けられたかもしれないなと思います。部屋単位で生活することで、ひとりの感染の影響を40分の1に区切ることができる大相撲のように。

この状況下でも開催をつづける競馬では、「競走馬の他ブロックへの出走制限(地域を移動するなの意)」「騎手の移動制限(土曜と日曜で別の競馬場に行くなの意)」「認定調整ルームの活用(自宅、ホテルでそれぞれ自己隔離せよ/八百長はしないでね、の意)」という新たな条件をつけ、感染拡大を抑止するとともに、ひとりの感染で全部の騎手・全部の競馬場がもっていかれることがないように「区切り」を備えました。どの業種でも「ひとりの感染で全部がストップ」となれば破綻するわけですから、スポーツも「区切り」の仕組みを設けることで、一度に全部をもっていかれないようにしなくてはいけません。

↓パチンコとか競馬とか、ギャンブルはコロナに屈しない謎の強さがあります!


「緊急事態宣言下でもやれる」理屈はよくわかりませんが、とにかく屈しない!

どうせやってるならパチンコ屋の景品でマスク配れば、ドラッグストアの行列がなくなる気がする!


↓競馬では、協業者ではあるけれど最大のリスクでもある「メディア」に対しても「区切り」を導入しています!

アクリル板の内側にいるのはカメラを操作する担当だけ!


今後、無観客試合を開催しようとするとき、最大のリスクとなるのは「メディア」です。力士や選手は部屋・クラブハウスに軟禁できても、メディアはアチコチをふらふらしている人がローテーションでやってきます。さっきまで渋谷で「コロナは心配じゃないですか?」と嗅ぎまわっていた人が、国技館や野球場に来たりするかもしれないのです。まさに運び屋です。そのとき「選手は部屋単位で隔離しております」「隔離された部屋から隔離された国技館へ自家用車で移動しております」「観客はおりません」「メディアとは一切接触していません」と言える状態でこそ、ようやく世間からの「清潔」の認定も得られることでしょう。まぁ清潔というか、「別世界」という認定かもしれませんが。

「当面は無理」というのは仕方ないとしても、「永遠に無理」というのも間違いです。風邪がいまだに地上から駆逐されないなかで、新型コロナウイルスの問題に「完全解決」などあり得ません。動き出せば、多少なりとも問題は起きます。そのときに「ここを切り捨てましたんで残りの清潔部分で続行」と言えるような「区切り」、いわゆるトカゲのしっぽ切りをできる仕組みを作っておくこと。それがこの緊急お休み期間のミッションだろうと僕は思います。完全解決を求める人が納得するまで待っていれば全員が倒れますし、そのとき誰も救ってはくれません。毅然とした主張をし、然るべき時がきたら堂々と動く。その準備をこの貴重な1ヶ月でこしらえていきましょう!



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