3月のキリンチャレンジカップでは1トップを務めた鎌田。大迫不在の今回、再び同じポジションでの起用となるか?写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 2022年カタール・ワールドカップ2次予選の2戦目となるモンゴル戦が今日10日、埼玉スタジアムで行なわれる。9月のミャンマー戦(ヤンゴン)に続く連勝が求められる日本だが、今回は絶対的1トップの大迫勇也(ブレーメン)の穴埋め問題という大きな懸案事項に直面している。森保一監督は前日会見で「まずはベースを確認しながら、試せるところは試したい」と言葉を濁したが、今、やれることは「人を変えるか、形を変えるか」の2つに1つ。そのいずれかを考えるしかない。

 まず、前者の「人を変える」の場合、慣れ親しんだ4-2-3-1布陣で戦えるので、大半の選手たちはスムーズに入れる。特に守備陣にとってはメリットが大きいだろう。ただ、攻撃陣の方は、ターゲットマンとフィニッシャーという大迫が1人でこなしていた仕事を新たな1トップが遂行することが絶対条件になる。でなければ、2列目アタッカー陣の推進力と連動性が出にくくなるからだ。

 永井謙佑(FC東京)、浅野拓磨(パルチザン)、鎌田大地(フランクフルト)、南野拓実(ザルツブルク)という今回の候補者の顔ぶれを見ると、最も可能性の高い人間は鎌田ということになる。3月のコロンビア(日産)とボリビア戦(神戸)で1トップに入った時も、敵を背負って起点になる仕事に短時間で適応していた。その経験値は大きなアドバンテージと言っていい。

「この前代表に入った時も(最前線で)プレーしているし、みんなの特徴も分かっている。相手のレベルもそこまで高いわけじゃないし、僕たちがボールを支配できるので、そこまで難しくはないかなと思います」と本人も自信を覗かせた。今季フランクフルトでは2列目に入っているが、屈強なDFと日常的に対峙していて、球際や寄せの部分もアジアレベルならまったく問題ないはず。大迫不在の穴を最小限にとどめると同時に、彼らしい創造性を発揮してくれるという期待は大きい。
 
 コロンビア戦で10分程度、1トップに入った南野も鎌田同等のターゲット役はこなせる選手。ただ、彼を前に上げて、トップ下に久保建英(マジョルカ)ら他の人間を入れる形だと2列目のバランスが微妙に変化する。欧州CLのリバプール戦で1得点・1アシストという圧巻パフォーマンスを見せた南野は今の森保ジャパンの肝であり、彼をトップ下から動かしたくないという指揮官の思惑もあるだろう。

 一方で、スピード系の永井と浅野はボールを収めて動くタイプではないから「ポスト・大迫」を要求しようとしても難しい。やはり「人を変える」の解決策は、鎌田がベストチョイスと見ていいのではないか。
 
 もう1つの「形を変える」を選択すると、チーム全体のオーガナイズが変わることになり、準備時間の少ない現状ではリスクが高い。自陣に引いて守ると見られるモンゴルに対し、ウイングバックを活用しながらワイドに攻めることができ、1トップ2シャドーの3枚が流動的に敵をかく乱できる3-4-2-1の布陣には、確かに利点もある。最前線に入るFWも、大迫に似た選手でなく、永井や浅野のような別タイプでも、周りとの兼ね合いで十分生きてくるはずだ。

 とはいえ、ウイングバックの裏を突かれやすい、4バックより守備組織の脆さを露呈しやすいといったマイナス面もあって、森保監督が自信を持って採用できるとは言い切れない部分もある。相手がペースダウンしてきた後半なら思い切ってトライできるかもしれないが、頭から行くという決断は下しづらいのが実情だろう。
 
 このようにいくつかの解決策を分析すると、やはり現実的なのは鎌田の1トップ起用に落ち着く。モンゴル戦で本当にその通りの起用になるのか。鎌田抜擢の場合には大迫不在の穴を確実に埋められるのか。鎌田の独自性がチームを活性化してくれるのか。そこに注目しながら、モンゴル戦を注視することが肝要だ。いずれにしても、大迫問題に悩み続けた1月のアジアカップ(UAE)の二の舞だけはもう見たくない。

取材・文●元川悦子(フリーライター)