職業体験プログラムへの5G活用を目指すKDDIの高橋誠社長(右)とKCJグループの住谷栄之資社長兼最高経営責任者(左)

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 KDDIは10日、子ども向けの職業体験施設「キッザニア」を運営するKCJグループ(東京都千代田区)を買収したと発表した。第5世代通信(5G)を活用した未来の職業体験施設を新設するほか、自治体や地元企業と連携した職業体験プログラムを全国各地で展開する計画だ。主力の通信事業で教育分野への攻勢を強め、新たなサービス収益源に育てるほか、地方での5Gを活用した新たなビジネス創出の機運を高める狙いもある。

 「今ある職業体験の進化と、未来の新しい職業体験を演出したい」。KDDIの高橋誠社長はこう力を込める。KDDIはKCJグループの株式の過半を取得し子会社化した。出資額は非開示。2020年度に名古屋市内に全国3カ所目となる「キッザニア名古屋」を開設する計画だ。

 同施設は、5GやIoT(モノのインターネット)を活用した新ビジネスを子どもが体験できる場として機能させる。飛行ロボット(ドローン)パイロットやデータサイエンティストの育成を検討しているという。

 自治体や地元企業と連携した職業体験プログラムにも取り組む。KDDIが強みとする5GやIoTを農業や漁業といった第1次産業にも活用し、子どもが体験できるプログラムとして地方で展開する。地元と一体となって進め、地方創生につなげるほか、担い手不足の解消にも役立てる考え。またKDDIは20年に5Gの商用化を計画しているため、地方との連携は5Gネットワークの全国への整備にも寄与しそうだ。

 KDDIは物販や電力、保険など生活に関連した多様なサービスをauユーザー向けに提供する「ライフデザイン戦略」を掲げており、今回の買収はその一環となる。