兵庫県の権現ダム(加古川市平荘町)の岸から数メートル沖に浮いた衣装ケース内に詰め込まれた状態で、大阪市淀川区十三に住む小西優香さん(20)の遺体が発見されたのは8月11日。1週間経った18日未明、県警は森翔馬容疑者(20=同市西区)と、稲岡和彦容疑者(42=同市生野区)を死体遺棄の疑いで逮捕した。

「2人は遺棄を否認しているが、交友関係の聞き込み情報や9日朝に森容疑者と小西さんが大阪市内で一緒に歩いているところを捉えた防犯カメラ、稲岡容疑者の車が映り込んだダム湖近辺まで続く山陽自動車道のNシステムの映像などから、逮捕に至った」(捜査関係者)

 この捜査関係者によれば、11日に発見された衣装ケースは縦約75センチ、横と高さが45センチ、小西さんの足がはみ出た状態で水中に横倒しにされ、ケースにはロープで2つの土のうが付けられていた。

「死亡推定時刻は10日午後で、小西さんは白色のTシャツと長ズボンを穿き、着衣に乱れはなかったそうですが、首に絞められたような跡が残っていた。また、現場に小西さんの化粧ポーチや財布などは残されていたものの、携帯電話は見つからなかった。しかし、あまりのずさんなやり口に捜査員は首をかしげていたそうです」(全国紙社会部記者)

 三重県松阪市出身の小西さんは昨年春に地元の高校を卒業後、歯科衛生士の専門学校へ通うため大阪へ引っ越した。
「その学費を稼ぐため、十三のキャバクラで勤め始めたんです。彼女は美人だし話も上手だから、店ではすぐに指名が殺到したそうです。昨年から今年春にかけて3つぐらい店を変わったみたいですが、どれも引き抜きだったと聞いている。今年の夏の初めからはスカウトされた梅田の高級店で働いていたんです」(小西さんの友人)

 十三の風俗案内所の従業員はこう言う。
「彼女のことは覚えてますよ。確か、見たのはキャバに体験入店で入ったとき。でも、すぐに売れっ子になって客もようついて、店も引き止めにかかったみたい。結局それで自信つけて、梅田の高級店に行きましたよ。だから十三は短かったはずですが、ここにいる頃から、かなり羽振りはよかったみたいです。事件見てびっくりしたけど、梅田でも人気があったようだから色々あったんと違いますかね」

 昨年9月の小西さんのツイッターには《中免取りに来た ずっとほしかったからやっと… 今年ジェット(編集部注:水上バイク)の免許も取ったし、免許取るのが趣味みたい 大阪来てからなんか色々変われた気がする 来て良かったなあん》、今年6月にも《卒検が土曜で受かったから免許Get 車に単車にジェットに免許いっぱいや ツーリングにジェット お誘い待っています》と書き込み、私生活の充実ぶりと交友関係の広さも窺える。しかし、その様子は7月に入り一変、「連絡を取ると『仕事に疲れた』とか、『三重に帰りたい』なんて、らしくないことを言い始めた」(前出・友人)という。

 8月には同じく小西さんのツイッターに、以下のようなストーカーらしき男が見え隠れするようになる。
《前座ってきたおっさんにガン見されてるなう おっさんこんな事書かれてとは知らずガン見なう 隣の自撮りしている女の方見とけよ 今日はイライラする日やなあ》(6日)
《後ろぴったりつけられてエスカレーターはさすがに鳥肌やったから駆け下りたし》(同日)
 また、亡くなる前日と見られる9日未明には、《悔しいのとか色んな気持ちがあふれてきて泣きたい気分や》と書き込まれている。
「大阪市内で水商売に携わっていた森容疑者は、小西さんが勤務していた十三のキャバクラへ客として度々出入りしていました。一方の小西さんも、森容疑者の店を訪れており、いわば、もちつもたれつの関係だったと見られています。しかし、最近はそのバランスが崩れもめていたという情報もある。一方の稲岡容疑者は、小西さん目当てにキャバクラへ通い詰めていたが、たまったツケを小西さんに激しく責められていたという。また、もともと稲岡容疑者の小西さんへのストーカーまがいの行為を、小西さんから頼まれた森容疑者が咎めていたという話があります。いずれにせよ、皮肉にも小西さんの人気ぶりが事件に巻き込まれた発端と言えます」(地元記者)

 キャバクラ嬢が絡んだ事件といえば、小西さんの遺体が発見された同日、新潟県十日町市の林道で両足を縛られた上に背中に包丁が刺さった状態で遺体が見つかった谷愛美さん(24)は、シングルマザーながら新潟市内の店で働くホステスだったという。
「18日には、警察が行方を追っていた谷さんの知人男性(36)の遺体が同県糸魚川市の林道周辺で発見されています。2人はもともと谷さんが勤める店で知り合ったとの話があり、交際もしていたという。男性は発見される前、自殺未遂を起こし退院後に行方をくらましていたため、何らかのトラブルがあったと見られています」(前出・社会部記者)
 水商売で人気を集める女性はその華やかさとは裏腹に、常に危険にさらされているのかもしれない。