「道の駅」発足から25年、明暗は分かれつつある(写真:よしだやすお/PIXTA)

夏休みも終盤。帰省や旅行で「道の駅」を訪れた読者も多いのではないだろうか。「道の駅」とは全国に1145駅(2018年4月現在)ある一般道路に設けられた駐車場付きの休憩施設のことだ。道の駅が最初にできたのは今から25年前。1993年4月に全国103箇所で一斉にオープンした。

都道府県別に駅数をみると、最多の北海道は122駅。北海道に道の駅が多いのは、都市間の移動距離が長いことも影響しているとみられる。そして大きく引き離されて2位以下に岐阜、長野が続く。

東京都には1駅だけ

なお、東京都の道の駅はたった1駅、八王子に10年以上前の2007年4月できた駅のみだ。コンビニやスーパーが多く存在し「道の駅」に近い役割を担っているため、必要性がないのかもしれない。

そして、この東京都に道の駅ができたことで、いまや47都道府県すべてに道の駅が設置されている。


全国に広がっている道の駅だが、「3つの機能」を持つことが設置の条件になっている。

第一に、休憩機能として、24時間、無料で利用できる駐車場・トイレがあること。第二に、情報発信機能として、道路情報、地域の観光情報、緊急医療情報などを提供していること。最後に、地域連携機能として、文化教養施設、観光レクリエーション施設などの地域振興施設があることだ。

こうした条件をクリアしたうえで、市町村またはそれに代わる公的な団体が設置し、登録は市町村長からの申請を受け、国土交通省が行うことになっている。

道の駅の食べログでの評価は?

3つの機能の中でも、「休憩機能」がいちばんの役割であるが、では、道の駅のレストランはどう評価されているのか。食べログデータから分析してみよう。

食べログでは、3.50点以上の店が「多くの食べログユーザーから人気があり、満足できる確率の高いお店」とされている。しかし、食べログ掲載の道の駅に関連するお店1014カ所の中で3.50点以上の駅はたった8駅しかない。また、平均点は3.06点、中央値も3.06点であった。全体的にあまり評価が高いとはいえないだろう。

昼の予算で利用金額を確認すると、1000円以下が全体の85%を占めた。1000円台は13%、2000円台は2%、3000円以上は0.5%だった。


また、夜の予算では、全体の9割が「-」(該当なし)だ。夜間も営業をしている道の駅が少ないことが影響しているものとみられる。

車での来訪が多いため、アルコール飲料が頼めず客単価が低い傾向になるのは理解できる。ただ、そうした事情を考慮しても、道の駅での食事では客単価が低いことがデータで明らかになった。

また、道の駅で最初に表示される料理ジャンルを調べてみると、全体の6割が「その他」である。いわゆるドライブインでメニューの種類は多いが、何料理かに特化した専門店は少ない状態といえよう。


次点に定食・食堂、アイスクリームが続くが、アイスクリームがいちばん始めにくる駅は、それ以外の食べ物がないか、印象がない駅ということになるだろう。

そうした駅がわざわざ立ち寄り、一定時間滞在する目的地となることはまれだろう。

道の駅に期待するもの

マーケティングの理論の1つに、滞在時間が伸びると購買価格が上がるデータがある。道の駅が集客を目指すなら、単なるトイレ休憩目的での利用者を待つのではなく、土日や祝日イベントなどの仕掛けは積極的に行っていかないといけない。

ロードマップ『道の駅 旅案内 全国地図 平成30年度版』(ゼンリン)には、道の駅にある温泉全132湯と、駅周辺の日帰り温泉1000湯を特集してあり、旅の提案をしている。

売上高10億円を超える道の駅がある一方、赤字経営の道の駅も多いと聞く。地方自治体が出資している駅は、税金の財政負担で運営されている。

「道の駅」発足から25年、明暗は分かれつつあるが、今後も存続を目指すなら、道の駅に何度も滞在する理由を積極的に作っていくべきである。

たとえば「朝採れ野菜の〇色サラダ」「近隣〇〇漁港より直送の地魚入荷」「焼き立てメロンパン〇〇時に出来上がり〇〇個限り」「夏限定、旬な〇〇味アイスクリームが食べられるのは〇月〇日まで」「小学生のお子様だけ〇〇ノベルティ・グッズ、先着〇〇名様贈呈」などである。

また、地域の「6次産業」の推進拠点としての役割を強化することも有効だ。「6次産業」とは、1次産業(農林水産業)と2次産業(食品加工を伴う製造業)、3次産業(販売を担う小売・サービス業)を一体的に推進する事業モデルを指す。

この6次産業の事業体には、道の駅は最適である。近隣の農林水産業の産地直売的な機能は、すでに道の駅に備わっていることが多い。そこに地元で加工した製品やそうした製品を提供するレストラン等を展開することで付加価値を高め、雇用と収益を生み出すことが期待できる。この地にある道の駅にしかないサービスでこそ、他駅との差別化を図ることができるからだ。

道の駅関係者はぜひとも、食べログ3.50点以上8駅や上位駅を視察してほしい。休憩施設のなかで、飲食部門は有力コンテンツのはずだ。そこに必ずやヒントや解決策があるはずだ。