憎たらしいのは、遠くの敵より近くの敵。欧州はこうした気質で溢れている。その意味で言うと、国内リーグは絶対に負けられない戦いになるが、欧州のみならず世界のサッカー史に名が残るのはCLだ。
 
 局所的な戦いに全力を注ぎ込みすぎると大局を見誤る。国内リーグにおける無敗記録を、バルセロナの地元メディアはしきりに強調するが、マドリーがCL3連覇を達成すれば、その姿はとても哀れなものに映る。

 昨季、アジアチャンピオンズリーグ(ACL)を制したのは浦和レッズだった。だがその評価は、国内リーグで優勝争いを演じた川崎、鹿島に大きく劣った。
 
 欧州の26シーズン前よりも、遙かに劣る。欧州のような面白さは存在しないのだ。これは日本の問題と言うよりアジアの問題というべきかも知れないが、まさに異文化だ。そしてこれこそが欧州CLの真髄だ。
 
 マドリード対バルセロナ。リバプール対マンチェスター。レアル・マドリー対リバプールのCL決勝戦を、それぞれの従来のライバル関係と重ね併せながら観戦すると、ストーリー性は増す。

 バルサ国内リーグ無敗優勝。レアル・マドリーCL3連覇。近い将来、ポータルサイトのトピックスには、こうした見出しが立て続けに並ぶ可能性が高いが、面白いのは、それぞれの行間だ。
 
 バルセロナの街は、今回はリバプールの赤い旗で溢れかえるのか。カルチャーギャップを体験したいのなら、試合会場となるキエフではなく、バルセロナに行くことをオススメする。レアル・マドリーがリバプールに負けたらお祭り騒ぎ。勝ったらお通夜さながらの悲嘆にくれる。はたして結果はいかに。