憎たらしいのは、遠くの敵より近くの敵。欧州CLがおもしろい理由
レアル・マドリーとリバプールが、バイエルン、ローマをそれぞれ下し、チャンピオンズリーグ決勝進出を決めた。しかし、国内リーグではレアル・マドリー、リバプールともに現在3位。レアル・マドリーは昨日のクラシコで2−2で引き分け、すでに国内優勝を決めているバルサのシーズン無敗記録を止めることができなかった。
国内リーグとチャンピオンズリーグ。チャンピオンズカップがチャンピオンズリーグ(CL)に名前を変えた26シーズン前は、必ずしもCLは国内リーグよりプライオリティの高い大会というわけではなかった。中には、欲しいタイトルはどちらと尋ねられると、欧州一より国内一だと答えるクラブも少なからず存在した。
だが、当初8だった本大会出場チームは、16(94-95〜)、24(97-98〜)、32(99-00〜)と、わずか8シーズンで4倍に肥大化。賞金額も右肩上がりで膨れあがっていくと、そうした声はいつしか聞かれなくなった。
バルサは97-98と98-99シーズン、国内リーグを制し、続く99-00は2位に終わったものの、3シーズンで優勝2回、2位1回という成績を収めた。だが、時の監督のファンハールは、さんざん悪く言われた。3シーズン目に3連覇を逃し2位に終わると、連続優勝を飾った前2シーズンを評価する人は少なく、解任の憂き目に遭った。その3シーズンでレアル・マドリーが、2度(97-98、99-00)欧州一に輝いたからだ。
これは「国内リーグ<CL」の流れに拍車を掛ける一件として記憶される。
今季、もしレアル・マドリーがCLを制し、3連覇をはたしたなら、バルサが国内リーグで無敗優勝を飾っても、それは大した意味を持たなくなる。
想起するのは、いまから20年前(97-98)のCL決勝だ。アムステルダムのアレーナで行われたユベントス対レアル・マドリー。マドリーが勝利を収めたこの一戦は、攻撃的サッカーのムーブメントに拍車がかかった試合として位置づけられるが、後で話を聞かされて、面白かったのはバルセロナ市民の反応だった。
試合当日、バルセロナ市内は黒と白の、ユーベのチームフラッグで溢れたという。各自が住宅の軒先や窓辺にそれを掲げ、ユーベの優勝を念じながらテレビ観戦した。繰り返すが、このシーズン、スペインの国内リーグを制したのはバルサ。レアル・マドリーは4位だった。
1位(バルサ)と3位(マドリー・現在)の関係にある今季と、関係は似ている。5月26日、キエフで行われるCL決勝。興味深いのは、バルセロナ市民の反応だ。レアル・マドリーの3連覇(しかも42年ぶり)が懸かった大一番に、彼らはどう向き合うのか。
同じ事は、マンチェスターにもあてはまる。こちらの市内では当日、レアル・マドリーのチームフラッグが大人気になるに違いない。
決勝進出を決めたリバプールも、レアル・マドリー同様、現在、国内リーグ3位。マンチェスター勢(1位・マンC、2位・マンU)の後塵を拝している。
思い起こすのは06-07。リバプールがミランとその2シーズン前に続き決勝で対戦したシーズンだ。マンUは準決勝でミランと対戦して敗れていた。しかし決勝では一転、ミラン側についた。たとえば、マンチェスター在住のある夫婦は、パブでビールを煽りながら、ミランの勝利をひたすら願ったという。
マンチェスターとリバプールは、鈍行列車で数十分の距離にあるいわば隣町だ。両都市の仲は異常に悪い。
ミラン対マンUの準決勝を観戦するために、宿泊したミラノのホテルのご主人はインテリスタで、ミランがマンUに勝利を収めると、別人かと思うほど渋い顔に変わった。「決勝ではリバプールに頑張ってもらうしかない。ひたすら応援するつもりだ」と、ニコリともせずに言った。
国内リーグとチャンピオンズリーグ。チャンピオンズカップがチャンピオンズリーグ(CL)に名前を変えた26シーズン前は、必ずしもCLは国内リーグよりプライオリティの高い大会というわけではなかった。中には、欲しいタイトルはどちらと尋ねられると、欧州一より国内一だと答えるクラブも少なからず存在した。
だが、当初8だった本大会出場チームは、16(94-95〜)、24(97-98〜)、32(99-00〜)と、わずか8シーズンで4倍に肥大化。賞金額も右肩上がりで膨れあがっていくと、そうした声はいつしか聞かれなくなった。
バルサは97-98と98-99シーズン、国内リーグを制し、続く99-00は2位に終わったものの、3シーズンで優勝2回、2位1回という成績を収めた。だが、時の監督のファンハールは、さんざん悪く言われた。3シーズン目に3連覇を逃し2位に終わると、連続優勝を飾った前2シーズンを評価する人は少なく、解任の憂き目に遭った。その3シーズンでレアル・マドリーが、2度(97-98、99-00)欧州一に輝いたからだ。
これは「国内リーグ<CL」の流れに拍車を掛ける一件として記憶される。
想起するのは、いまから20年前(97-98)のCL決勝だ。アムステルダムのアレーナで行われたユベントス対レアル・マドリー。マドリーが勝利を収めたこの一戦は、攻撃的サッカーのムーブメントに拍車がかかった試合として位置づけられるが、後で話を聞かされて、面白かったのはバルセロナ市民の反応だった。
試合当日、バルセロナ市内は黒と白の、ユーベのチームフラッグで溢れたという。各自が住宅の軒先や窓辺にそれを掲げ、ユーベの優勝を念じながらテレビ観戦した。繰り返すが、このシーズン、スペインの国内リーグを制したのはバルサ。レアル・マドリーは4位だった。
1位(バルサ)と3位(マドリー・現在)の関係にある今季と、関係は似ている。5月26日、キエフで行われるCL決勝。興味深いのは、バルセロナ市民の反応だ。レアル・マドリーの3連覇(しかも42年ぶり)が懸かった大一番に、彼らはどう向き合うのか。
同じ事は、マンチェスターにもあてはまる。こちらの市内では当日、レアル・マドリーのチームフラッグが大人気になるに違いない。
決勝進出を決めたリバプールも、レアル・マドリー同様、現在、国内リーグ3位。マンチェスター勢(1位・マンC、2位・マンU)の後塵を拝している。
思い起こすのは06-07。リバプールがミランとその2シーズン前に続き決勝で対戦したシーズンだ。マンUは準決勝でミランと対戦して敗れていた。しかし決勝では一転、ミラン側についた。たとえば、マンチェスター在住のある夫婦は、パブでビールを煽りながら、ミランの勝利をひたすら願ったという。
マンチェスターとリバプールは、鈍行列車で数十分の距離にあるいわば隣町だ。両都市の仲は異常に悪い。
ミラン対マンUの準決勝を観戦するために、宿泊したミラノのホテルのご主人はインテリスタで、ミランがマンUに勝利を収めると、別人かと思うほど渋い顔に変わった。「決勝ではリバプールに頑張ってもらうしかない。ひたすら応援するつもりだ」と、ニコリともせずに言った。