チャンピオンに贈られるグリーンジャケット そのストーリーとは(撮影:ALBA)

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マスターズ 事前情報◇5日◇オーガスタ・ナショナルGC(7,435ヤード・パー72)>
6日(木)に開幕するマスターズ。春の訪れを告げ、世界で最も華やかな大会として知られる。大会を象徴するのはいうまでもなくグリーンだ。4月の暖かな陽光を浴びたフェアウェイとグリーン。ロゴにも緑があしらわれ、開催コースであるオーガスタナショナルGCのそこかしこに緑が映える。中でも、最もゴルフファンの印象に残るのがグリーンジャケットではないだろうか。
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その年の優勝者にグリーンジャケットが授与される最終日の表彰式は、すべての出場選手にとって、何物にも代えがたいあこがれの瞬間だ。優勝ブレザーが贈られる大会はほかにもあるが、グリーンジャケットは単なるチャンピオンをあらわすものではない。チャンピオンはオーガスタナショナルの名誉会員になることができ、同地を踏むたびに、このグリーンジャケットに袖を通すことが許される。
遠い昔、大西洋を渡った球聖・ボビー・ジョーンズがイングランドで見た光景が、グリーンジャケットのルーツだということをご存じだろうか。1930年に全英オープンに出場するため渡英したジョーンズ。歓迎パーティでコースの歴代キャプテンが赤いジャケットに身を包んでいることに興味を持った。その内の一人から「勝てば進呈する」の一言を受け、ジョーンズは同大会を制覇。記念にと、その赤いジャケットを受け取ったのがキッカケだった。
その年、ジョーンズは年間グランドスラムを達成し、競技から引退。34年にニューヨークの実業家、クリフォード・ロバーツとともにオーガスタナショナルをオープン。同年、マスターズがスタートした。大会期間中、来場したパトロンが困ったときにわかりやすいようにと、コースメンバーが緑のジャケットを着るようになったのが37年。49年には、現在と同じように優勝者にグリーンジャケットが贈られるようになった。第一回の授与者はサム・スニード。以後、この伝統が受け継がれているわけだ。
実はグリーンジャケットは、オーガスタナショナルにいる間のみ着ることが許される。例外はその年のチャンピオン。優勝した翌年までは持ち帰ることができる。そして優勝の翌年、クラブにジャケットを返し、以後保管される。よほど体形に変化がない限り、生涯一着で通すそうだ。近年は、グリーンジャケットを着ることによって、ゴルフ振興に寄与するとの考えもされるほど、この一着のジャケットが持つ意味は重い。オーストラリアで初のチャンピオンとなったアダム・スコットは、持ち出しが許される1年間の間、地元大会にも着用していたという。
「一度着たら脱ぎたくなかった。勝ったその日、家に帰ってジャケットを着たまま寝た」(タイガー・ウッズ)
「これまでの人生を振り帰ったとき、グリーンジャケットは私の人生すべてだったといえる」(ベン・クレンショー)
表彰式で前年チャンピオンがその年のチャンピオンにグリーンジャケットを贈るのが慣例。名誉会員が一人増える瞬間をオーガスタナショナルのメンバーたちが見守る。昨年はダニー・ウィレットが初めて袖を通した。「ちょっと袖が長かったけど、今まで着たジャケットの中で最高だった」(ウィレット)。ちなみに、出場する選手は大会の受付を済ませた段階でジャケットのサイズを聞かれるという。優勝争いを見ながら、クラブスタッフが最も適していると思われるサイズの在庫が、表彰式に持ち込まれる。
大会期間中は、このグリーンジャケットを身にまとまった紳士をコース内で見かける。彼らは選ばれしオーガスタナショナルのメンバーなのだ。以前はパトロンが困ったときの案内役としての役割があったが、今では、彼らは多くを語らない。「グリーンジャケットについては、チェアマンしか話せないことになっていて、僕らが勝手に話すわけにはいかないんだ。本当に申し訳ない。でも、ここでのステイを是非楽しんでいってもらいたい。興味を持ってくれてありがとう」。伝統と誇り、威厳、レガシー。グリーンジャケットとはそういうものなのだ。
今年の最終日、ウィレットからグリーンジャケットを受け取るのは誰なのか。一着のジャケットに込められた思い。こんなストーリーを思い浮かべながら戦いを見届けても面白いだろう。
<ゴルフ情報ALBA.Net>

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