一方、勢いに乗る小沢グループは、水面下で猛烈な多数派工作を展開中。そのやり口が秀逸なのだ。
 「小沢グループは『風は我にあり!』『反消費税を唱えれば、次の選挙に絶対勝てる!』と、気脈の通じた議員に造反を呼びかけている。さらに『マニフェストを違えた野田総理、自民、公明党を今後は増税談合勢力と指弾し、勢力を削ぐ』とも吹聴いているのです。『増税談合勢力』などとレッテルを貼られれば、選挙でボロ負けするのは必至。これが元で、増税に合意した自公筋にも衝撃が走っています」(前出の政治部記者)

 また、別の民主党担当記者はこう話す。
 「仮に新党を結成すれば、政党助成金がもらえるのは来年の春。今年中の解散総選挙を睨んでいる小沢は、一人頭1億円といわれる選挙資金をどう工面するかが注目を浴びていたのです。ところが、小沢グループは造反を呼び掛ける議員たちに、『新党結成資金は、すでに40億円集まっている』と公言している。潤沢な選挙資金をほのめかし、離党を誘っているのです」

 もっとも、このニンジンをぶら下げた多数派工作が、思わぬ災いを呼び始めている。小沢氏は、政治資金団体『陸山会』の疑惑のカネを巡る一審裁判で「無罪」を勝ち取ったが、秋の控訴審に意欲を燃やす検察が、重大関心を示しているのだ。
 前出の政治部記者が言う。
 「一審敗訴で煮え湯を飲まされた検察は、現在、小沢の元私設秘書だった石川知裕議員の供述をでっち上げたとして、市民団体から告発されている。今後は上層部の処分問題にも発展しかねない雲行きです。そのため検察内部には『小沢憎し!』の風潮が充満しているが、そこにきて40億円もの新党軍資金の噂がもたらされたため、その出所を洗い出しているともっぱら」

 リベンジに燃える検察とは別に、今では「国税局も関心を抱きはじめた」(同)との噂も飛び出すほどだが、気になるのはこの莫大なカネの出所だろう。
 いったい、小沢氏はどうやってこの莫大なカネを用意したのか? そこには“周到な錬金術”があったと見られているのだ。
 「この軍資金の出所は、ズバリ政党資金のマネーロンダリングだ。小沢は、長い政治家稼業の間に新党を創っては壊してきたが、この際に得た政党運営費を巧みに隠蔽、プールしてきたと見られているのです」(民主党ベテラン議員)

 同議員が語る通り、小沢氏は43年に及ぶ政治家生活中に、まるで大手ゼネコン業者のように多くの新党を創っては壊してきた。
 その発端は'93年に結成された『新生党』。自民党を飛び出した小沢氏は、同党を結成して細川政権を樹立。'94年『新進党』を結成したが、内部分裂を引き起こし'97年に解党。翌年『自由党』を樹立し、小渕恵三内閣で自民党と連立を組んだが、'03年に解散し、民主党に合流したのである。