いよいよプロ野球開幕が迫ってきたが、この時期になると、どうしても“もうひとつの開幕”を心待ちにしてしまう。ファンタジーベースボールも、まもなく開幕だ。

 みなさんは、このファンタジーベースボールをご存じだろうか。まず、プロ野球12球団に所属する実在の選手のなかから好きな選手を編成し、架空のチームを作成する。実際にペナントレースが始まると、その選手の現実での成績がポイント化される。そして、シーズンが終了した時点での総合ポイントで順位を争うというシミュレーションゲームだ。もっと簡単にいえば、自分が選んだ選手が活躍すればするほどポイントがもらえ、自分のチームの順位が上がっていくのだ。

日本では一部のファンの間でしか知られていないファンタジーベースボールだが、アメリカではMLB版は年間約400万人がプレーしていると言われている。野球にかぎらず、アメリカンフットボール(NFL)やバスケットボール(NBA)などの他競技も合わせれば、年間約2000万人がこのファンタジースポーツを楽しんでいるのだ。

日本では、ファンタジースポーツジャパン社が、『ファンタジーベースボール (プロ野球版)』を提供しているほか、スポーツレイティングが従来のファンタジーベースボールにカードゲームの要素を採りこんだオンライン野球ゲーム『ドリームベースボール』を提供している。2001年には、スポーツナビがファンタジーベースボールのサービスを始めたが、わずか3シーズンでサービス提供は終了してしまった。

僕は、いくら記憶をさかのぼっても思い出せないほど昔から、このファンタジーベースボールの魅力に取りつかれている。このゲームのいちばんの魅力は、何と言っても、選手に対する優れた分析力が求められる点だ。各選手にはゲーム毎に年俸が設定されており、ゲーム上定められている総年俸の上限を超えることのないように選手を編成しなければならない。つまり、高年俸の選手ばかりをかき集めてオールスター級の布陣にすることはできないのだ。

好成績を収めるためには、いかに安くて活躍しそうな選手を見極めることができるか。今季ブレイクしそうな若手、怪我や不振のために昨季はあまり活躍できずにいた選手――。こうした選手が、実際のペナントレースで目論見通りに活躍してくれれば、かなりの高ポイントが期待できるのだ。

それでは、2012年シーズンは、いったいどんな選手たちが狙い目なのか。次回、紹介してみたい。

■乙武洋匡のベースボールコラム〜バックナンバー
王様の教え
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