実は、私は法務省の「訪日2500万人時代の検討会議」の委員をしている。バラエティばかりやっているわけではない。その会議の委員に林文子横浜市長がいて、たまたま席が隣なので、先日DeNAのことについて聞いてみた。意外にも林市長の評価は高かった。

 「でも、テレビ神奈川の新春特番には春田会長が出演してくれなかったんですよ」と言うと、それは春田氏がシャイだからだろうという。そして、「池田球団社長は、地元との会合にもこまめに出席して、横浜を大切にしてくれている」というのだ。

 それはとてもよいことなのだが、どうしても不安が拭えないのは、なかなか強力な補強が、いまだにできていないということだ。確かに中畑監督の就任は、メディアへの露出という意味では大きな効果があった。スポーツ紙やスポーツニュースでは、連日監督のことが採りあげられるので、ベイスターズの映像が全国に流れている。昨年の無視のされ方から比べたら、大きな進歩だ。

 ただ、私はベイスターズに、こういう形でメディアに登場してほしいのではない。ワクワク・ドキドキするような野球をやって、登場してほしいのだ。残念ながら、いまの戦力を考えると、そのためには、どうしても投手陣を中心とした補強が必要だ。それなのに大きな補強ができないのは、DeNAが大金持ちなのにケチなんじゃないかと思っていたら気になる記事が新聞に出ていた。2011年10-12月期の連結決算で、DeNAの経常利益が前年同期比14%減の127億円になったというのだ。これまで急成長を続けてきたのに、これはちょっと心配だ。ベイスターズの支援には、親会社の利益というパイがなければならないからだ。

 ちなみに、守安巧社長はベイスターズについて、「15年3月期を目途に黒字化したい」と語った。だったら、もう少し選手層を厚くしないと、収益の源泉である観客が集まらないだろう。中畑監督の人脈を生かして、ジャイアンツでくすぶっている投手を回してもらえないのだろうか。

■2月20日(月)夜9時〜BLOGOS生放送
森永卓郎のBLOGOS経済塾 第5回 「僕らは年金もらえるの?」

■森永卓郎「ハマスタから遠吠え」
第八回〜今年もダメかもしれない
第七回〜ベイスターズは大丈夫
第六回〜DeNAはベイスターズの文化を変えるな
第五回〜ユニクロいいかもしれない
第四回〜ショウアップナイター
第三回〜なぜベイスターズは弱いのか
第二回〜私がベイスターズに望むもの
第一回〜私がベイスターズファンになった理由

森永卓郎(もりながたくろう)
昭和32年生まれ 東京大学経済学部経済学科卒業
日本専売公社、経済企画庁総合計画局、(株)UFJ総合研究所などを経て、現在、獨協大学経済学部教授。専門は労働経済学。主な著書に『年収300万円時代を生き抜く経済学』光文社2003年、『しあわせの集め方 B級コレクションのススメ』扶桑社2008年など多数。
森永卓郎オフィシャルWEBサイト