日本代表がデンマークに3−1で勝利し、自国開催以外のW杯で初めて決勝トーナメント進出を決めた。
勝ち点1も獲得できなかった初出場の98年大会からわずか12年。出来すぎと言ってもいいこの勝利は、日本サッカーの歴史に新たな1ページを刻むものであり、そのゴールシーンは後世にまで語り継がれるだろう。結果に関しては素晴らしいの一言だよ。まさか決勝トーナメントに進めるなんて、とにかく嬉しいね。

しかしこういうときこそ、兜の緒を締めなければいけない。スポーツは勝ち負けの世界であり、勝てば官軍というのも確かだけど、勝ったら浮かれるだけで反省しなくなるのは良くないからね。

日本代表は今、自分たちの力を冷静に判断し、理想を捨てた現実路線のディフェンシブなサッカーで、勝ちを狙っている。それが今大会ではピタリとはまっているわけだけど、この先の日本サッカーの向上を考えるならば、その内容について喜ぶわけにはいかない。強豪国に対しても自分たちから攻撃をしかけ、ラインを押し上げ、個々の力を生かせるようになるには、まだまだ足りないものが多い。

本大会に至るまでの過程で、チーム作りが迷走に迷走を重ねていたことも忘れちゃいけない。大会直前のテストマッチでそれまでのやり方をドラスティックに変え、本番で結果を残したのは見事としか言うほかないけど、それまでの2年間に一体どんな意味があったかは疑問符がつく。

決勝トーナメント進出は素直に嬉しいけど、勝利の味に酔っ払って、悪かった部分もすべて水に流してしまうようではダメだ。勝利の喜びと同時に、検証と反省も忘れずに。
それにしても、強豪国と真剣勝負で上を目指す試合がまだ続くなんて、本当に素晴らしいね。次のパラグアイ戦も楽しみだ。(了)