昨年11月にバイク事故で両手首骨折などの重傷を負ったトッテナムGKカルロ・クディテイーニ。同選手は英紙『デイリー・メール』に対し、当時のことをこう振り返っている。

「すべては一瞬の出来事だった。1分前までは練習へ向かっていたのに、1分後には病院へ向かう救急車にいたんだ。でも、あらゆる瞬間を覚えている。あの最悪の瞬間でも、僕は意識を失わなかったからね。最初に考えたのは、マヒが残るんじゃないかということだった。それで、動けるかどうか見てみたんだ。手首は痛かったし、ほかのところも痛かったんだけど、本当に恐かったのは見えないところや感じないところにダメージがないかということだった。それについては、病院に着くまで待たなければならなかったからね」

「『残念だけど、もう終わりだ』と言われるまで、希望はずっとある。ドクターたちからは、右手首はひどい骨折だったけど、待つ必要があると言われたよ。僕はGKだから、必要な動きができなくなることを恐れているようだ」

事故に遭ってからというもの、クディチーニは決して一人ではなかった。母親がロンドンへ行き、新旧のチームメートたちが彼をはげましている。誰よりもそれをしているのが、チェルシー時代の同僚とGKペトル・チェフと、トッテナムのハリー・レドナップ監督だ。クディチーニは2人についてこう語った。

「ペトルは事故の次の日に病院へ来てくれた。彼がレディング戦でケガをしたときに、自分もそうしたことを思い出したよ。彼の復帰への意欲が僕を刺激してくれる」

「ハリーはかなりショックを受けていたようだった。1990年にイタリアで彼が自動車事故に遭ったときのことを思い出したんだろう。そのことについては話さなかったけど、僕が大丈夫だと分かったとき、彼はずいぶんホッとしたようだった。確かに、まだ生きているのは本当に幸運だったんだ。僕はこの経験から多くを学んだ。ほかの人たちとの関係も良くなったし、全般的に人生に対して僕はポジティブなんだ」

「みんなからたくさんのメールや手紙を受け取った。全員に返事したいね。もちろん、これは僕が立ち向かったことのない挑戦だ。20歳のとき、手首に深刻なケガを負って、キャリアがピンチだと言われた。パリで手術を受けて、18カ月ストップしたからね。でも、今はもっとひどい。自分がもっと強くなければいけないと思っているよ」

「もちろん、仲間たちが練習するのを見るのは、すごく辛いことだけど、毎日そうしなければいけない。でも、僕は自分がまだプレーできることを示したいと思っているんだ。自分が素晴らしいGKかどうかは分からない。でも、精神的に強いことは確実だよ。ドクターたちは回復具合に満足しているし、4カ月でやるべきことを2カ月でやったと言われている。プレーに戻りたいという意欲が前へ進めてくれるんだ。エネルギーのすべてをその目標に集中させている」