フランス代表でリヨンのFWカリム・ベンゼマ(21)がレアル・マドリーに移籍することが正式に決まった。1日夕方にリヨンの公式サイトで発表され、レキップ紙がウェブ版の速報で報じた。

 リヨンとレアルの両クラブは1日午後に最終合意に至った。同日午前までは、リヨンの広報部長がスペインのメディアによるレアル入りの報道を「根拠なし」と頑なに否定、オファーの存在すら認めずにおり、レキップ紙も最後までマンチェスター・ユナイテッド入りを有力視していた。

 両クラブは移籍金3500万ユーロ(約47億7000万円)で合意に至った。これにさまざまなインセンティブが加わり、最終的には4100万ユーロに達する見通し。契約年数についてはまだ明らかにされていない。

 リヨンは「レアル・マドリーは世界的な一流選手を中心とする野心的な新しい戦略をかかげ、ベンゼマはその一員となるチャンスをつかむことを望んだ。リヨンは彼の決定を受け入れ、移籍の条件について交渉した結果、双方とも満足のいく結論に至った」との声明を発表している。

 レキップ紙によると、地元リヨンでは、カカやクリスティアーノ・ロナウドの移籍金を大幅に下回る額でチームの“宝”を手放したことに疑問の声も上がっている。これまでにリヨンのオラス会長は「1億ユーロ」という天文学的な額を口にしたことすらある。しかし現実には、C・ロナウドの移籍で巨額を得たマンUとの交渉でも大幅なアップは実らず、1年後のW杯開催を待つ賭けに出るよりも、ペレス会長就任1年目の今年が相場のピークと判断したようだ。何より本人がかねてからスペイン行きを強く望んでいたことが最終的に大きく影響したと見られる。

 リヨンにとっては、2シーズンで37ゴールを叩き出したエースの抜けた穴はとてつもなく大きい。ベンゼマがいても攻撃陣にはコマ不足の感があっただけに、大物ストライカー獲得が今後の重要な課題となる。