チームメイトに対する不満をプレスにもらしたとして主将を降ろされたアーセナルのウィリアム・ギャラス。英国で批判の集中砲火を浴びるギャラスを、同じフランス人で元アーセナルのエマニュエル・プティ氏が擁護している。24日、レキップTVでコメントした。

 ギャラスの“問題発言”は、試合中に起きたチーム内の不和を、「ひとりの選手」が原因として包み隠さず明かしたことにある。ただし名前は挙げなかった。プレスがこれをファン・ペルシーと特定し、騒ぎが大きくなった。プティ氏はこれについて、チームをまとめる役割の主将としては「正直すぎる」が「ショッキングな内容ではなく」、問題が大きくなった原因は発言そのものよりも英国の報道のあり方にある、との考えを示した。プティ氏によると、英国の報道陣は「1年前からギャラスをアーセナルから放り出そうとしている」という。

 ギャラスはつい先日も、くわえ煙草でナイトクラブから出てきたところを写真に撮られ、大きく報じられたばかり。

 英プレスのフランス人選手に対する攻撃は「いまにはじまったことじゃない」と話すプティ氏。「自分もそうだったからよくわかる。カントナもそうだった。理由? まったくわからない」とギャラスに同情的。「世間はこんなものだ。まったく何も言わないか、誰にとってもいいことしか言うべきじゃないってことだ。ギャラスの発言は悪意から出たものじゃない。でも報道の仕方で悪意に受けとめられてしまう」と今年6月に回想録を出版し、批判を浴びた自身と重ね合わせるように語った。

 ギャラスがプレスから集中攻撃を浴びるようになったのは、プティ氏同様、彼自身の著書が出版されたタイミングでもある。この中でもギャラスは名前を明かしていないが、フランス代表の「20歳の選手」の“生意気な態度”を実際の会話を事細かに再現しながら暴露している。これも報道によってサミア・ナスリ(ただし21歳)と特定された。ただし、これを報じたのはフランスのレキップ紙だ。

 英国での騒ぎを受けて、フランスのメディアも「冬の移籍市場でパリ・サンジェルマン入りか」と憶測を展開しているが、25日のディナモ・キエフ戦(チャンピオンズリーグ)でのようすを見るかぎり、チームメイトとの問題は沈静化している印象だ。ベンゲル監督の処置は適切だったように見える。監督はカナル・プリュスのインタビューに答え、「(主将剥奪の決定は)難しかった。なぜなら問題は、人物とか選手としての質ではなく、不器用さにあったからだ。しかし悪意ではなかったにせよ、チームに大きな重圧をもたらした」と“降格”に踏み切った理由を語っている。