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TPP交渉の場で綱引きが続けられている「著作権の保護期間を何年にするか」という問題。保護期間が作者の死後50年の国と、70年の国との間で交渉が難航している。日本は50年で、アメリカは70年。ディズニーキャラクターやハリウッド映画など強力なコンテンツを抱えるアメリカは70年を主張しているという。

そうした中、日本のNPOなどでつくる「thinkTPPIP(TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム)」は7月17日、世界各国の団体が発表した「TPPによる著作権保護期間の延長に反対する国際共同声明」の日本語訳バージョンをウェブサイトで公開した。

●パブリック・ドメインは「計り知れない利益」もたらす

この国際共同声明は、パブリック・ドメイン(著作権保護期間が満了し、公有に帰せられた著作物)について、「社会の全ての活動分野に対して、計り知れない社会的・経済的利益」をもたらすと、その価値の重要性を強調。その例として、先日パブリック・ドメインになった「シャーロック・ホームズ」のスピンオフ作品が、数多く発表されていることを挙げる。

さらに、著作権の保護期間の延長について、「事実上、著作権を有する少数の多国籍企業への富の移転に等しい」と批判している。

この声明には、インターネット上の百科事典「Wikipedia」を運営する財団「ウィキメディア」をはじめ、各国のさまざまな団体が名を連ねている。日本からも、thinkTPPIPを構成する「クリエイティブ・コモンズ・ジャパン」や「thinkC(著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム)」、「MIAU(一般社団法人インターネットユーザー協会)」の3団体と、「本の未来基金」の計4団体が参加している。

thinkTPPIPは、他の団体にも共同声明に参加するよう呼びかけている。共同声明の和訳は次のサイトで読める。

http://thinktppip.jp/?p=383

(弁護士ドットコム トピックス)