システムによっては、最大電力点追従(MPPT)機能を実装できます。

まず、電源レールアーキテクチャをコモン型にするか、分散型にするかを決めます。

図5に違いを示しますが、どちらが適当かは負荷の挙動によって決まります。

その負荷に定電圧が必要であれば、図5(a)のコモンレールが最良の選択肢でしょう。

この場合、負荷コントローラはシンプルなリレーかソリッドステート スイッチです。

ソーラーDC/DCがコモンレールを電圧設定点に維持します。

バッテリ充電器はバスから電力を取り出して蓄電装置を充電します。

この方法の長所であり短所でもあるのが電力変換段です。

電力コンバータの平均効率が85%である事を考慮すると、変換ごとの損失は15%です。

ソーラーDC/DCが負荷に対応できるのであれば、電力変換は1段のみです。

しかし、バッテリを充電するには2段の電力変換が必要です(ソーラーDC/DC→コモンレール→双方向DC/DC)。

さらに、負荷をサポートする変換(双方向DC/DC→コモンレール)が必要です。

ソーラーDC/DCが動作しない間(夜間)のみ負荷を使う場合も、コモンレールを使います。

この場合、ソーラーDC/DCを省き、蓄電装置上の双方向DC/DCを使ってソーラーアレイからバッテリを充電する事ができます。

または、代替手段を使って負荷に電力を供給する事もできます。

この場合、電力変換は2段で済みます(ソーラーDC/DC→双方向DC/DC、双方向DC/DC→負荷)。

図5(b)の分散型アーキテクチャはより柔軟で、各種負荷要件に対応できます。

この場合、ソーラーDC/DCで蓄電レール(充電)に対応させ、DC/DCコンバータで負荷要件に対応させる事ができます。

この方法の短所は、電力変換が常に2段である事です。

しかし、ソーラーアレイと負荷が同時に動作する場合、総合的にはこのソリューションの方が優れています。

次にシンプルなアプリケーションの例を見てみましょう。

工事現場や防波堤でよく見られる点滅灯を考えてみましょう。

このような点滅灯は夜間のみ動作し、バッテリはそれ以外の時間で充電されます。

この場合にはコモンバスアーキテクチャが使えます。

また、充電と点滅が同時に行われる事はないので、ソーラーDC/DC、双方向DC/DC、負荷制御を単一の双方向コンバータに組み込めば、トポロジをさらに簡略化できます。

この回路設計を図6に示します。

この回路設計ではMicrochip Technologyの「PIC16F690」を1つとアナログPWMコントローラ「MCP1630」を2つ使って、双方向フライバックコンバータを駆動しています。

日中は太陽光でバッテリを充電します。

夜になると、プログラムされた点滅パターンに従ってコンバータから電力をLEDライトに供給します。

表1に条件と計算結果を示します。

ソーラー設置コストが下がるにつれて、分散型アプリケーションは今後も増え続けるでしょう。

最終アプリケーションの要件は、システムトポロジを決定し、性能上の重要なトレードオフを浮き彫りにします。

マイコンベースの電力変換アーキテクチャを使えば優れた柔軟性が得られます。

これにより、多様な最終アプリケーションに対応し、継続する太陽光発電技術の進化にも対応できます。

この柔軟性は、今日行う設計が将来も有効であり続ける事を意味します。