「生理用品が欲しいのはわがまま?」「サイズ違いの下着をお願いしづらい」避難所で要望の声を上げるのに悩む女性たち…弁護士は「『わがまま』と『権利主張』は全く違う」と強調

熊本で最大震度7を観測した大地震の発生に伴い、避難所生活を送る被災者の間では、暑さやトイレの不衛生さに加え、生理用品や女性用下着の不足といった女性ならではの困難が表面化している。
ニュース番組『わたしとニュース』では、みんなが大変だからと要望を出すのを遠慮してしまう被災者の心理や、避難所における物資配分の偏り、そして「わがまま」と「正当な権利主張」の違いについて、弁護士の三輪記子氏とともに深掘りした。
■男性が仕切る物資コーナーで生理用品が言えない…避難所で露呈した女性用品の調達難
「避難所の中には、障害のある方や高齢で介護が必要な方、生まれたばかりの赤ちゃん、いわゆる配慮が必要な人たちが混ざっている」と語るのは、数多くの被災地で支援活動を行ってきた認定NPO法人レスキューストックヤードの浦野愛常任理事。
心配なのが、健康状態が悪化しやすい災害関連死のリスクが高い人たち。避難所ではどんな人がいるのかを早めに把握し、支援につなげることが欠かせないという。
「(脱水症で)体がどんどん衰弱していくパターンが多くなってくると思うので、安心して水分が取れて排泄ができる環境をできるだけ早く作っておかないといけないと思う」(浦野氏、以下同)
そのためには、困りごとを相談しやすい環境づくりも重要だ。
「能登半島の地震でもあったが、物資コーナーを仕切っているのが男性だけだと、女性ならではの物資が取りにくかったというのが実際あった。例えば、生理用品もいろいろな種類のものがあり、女性用下着もサイズなどがいろいろある中で、『こういったものが欲しい』ととても言いづらかったということで、汚い衣類や下着のまま我慢せざるを得なかったという問題も」
周囲に遠慮し、汚れた衣服や下着を身に着け続けることは、単に不快であるだけでなく、深刻な健康被害や感染症を引き起こす引き金にもなりかねない。
この状況に対し三輪氏は、避難所運営の初期段階におけるガバナンスの課題を指摘した。
「もしかしたら現場でマネジメントする人を誰にするか決める段階から、女性の声がすくい上げられていない可能性がある。『女性が言いにくいだろうから、女性にも避難所運営を対応してもらおうよ』という一声があって、そして男女関係なくみんなが支え合う環境があれば、より円滑なコミュニケーションが可能になるのではないか」(三輪氏)
また、被災者が求める要望の例は女性用品以外にも多岐にわたる。体調が悪い人がトイレに行きやすい環境の整備、夜間の安全を確保するための防犯対策、そして高齢者や乳幼児への特別な配慮など、そのどれもが生命や安心に関わる切実なものばかりだ。
■「わがままと権利主張は全く違う」弁護士が指摘する、自己規制を解く言葉
「避難所では、みんなが大変な中、自分だけが要望を出すということに遠慮したり、気兼ねしたりする人は多い」と話す浦野氏。数多くの避難所でサポートをしてきた経験から、要望を叶えるために重要なのは、被災者同士がコミュニケーションを取ることだという。
「『みんなで手分けをして、動ける人がやるから』という意識を持っていただけるとより良い。そういうやり取りを進めていくうちに、コミュニケーションも取りやすくなって、『今ここでこうやって困ってる人がいる』『自分が困っているんだ』ということも言いやすくなると思う。“急がば回れ”ではないが、それが問題解決するために最短の道なのではないか」(浦野氏)
避難所という非日常の空間では、「周りのみんなも我慢しているから」と自らの要望を「わがまま」ではないかと抑え込んでしまう被災者が後を絶たない。この心理的な障壁に対し、三輪氏は「わがまま」と「権利主張」の違いを明確に論じる。
「『これってわがままかな?』と考えてしまうことが権利主張を妨げている。“わがまま”と“権利主張”は似ているようで全く違うこと。避難生活をしていることは、自ら望んでそうなったわけではなく、致し方なくそうなっている。その中で、皆さん1人1人の尊厳が失われていいわけはない。『自分の尊厳が損ねられているのではないか』あるいは『誰かの尊厳が損ねられているのではないか』と思った時には、『それはおかしい』『こうしてくれ』と言うのは当然のこと。災害は今後もいろいろところで起こる。その時のために、情報共有や現場改善にもつなげるためにそういう声は絶対にあげて欲しいし、声をあげた人に対し『わがまま言うな』と言うことは、誰かの権利主張を妨げている、侵害しているということも知って欲しい」
(『わたしとニュース』より)
