「食後の血圧」はどうなるかご存じですか?低い・高い原因も医師が解説!
食後は血圧が変化しやすく、低くなる場合と高くなる場合があります。それぞれの原因を医師が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「食後の血圧」が低い時・高い時に現れる症状とは?考えられる病気も医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
木村 香菜(医師)
名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。
血圧とは?
血圧とは、心臓が血液を送り出すとき血管の壁にかかる圧力のことです。通常、血圧は動脈内の圧力を指します。心臓が収縮して血液を押し出すときの血圧を「収縮期血圧(上の血圧)」といいます。一方、心臓が拡張して血液が再び心臓にたまる間の血圧を「拡張期血圧(下の血圧)」といいます。血圧は、自律神経の働きや体の状態に応じて自動的に調整されますが、食事や運動、ストレスによって変動することもあります。今回の記事では、特に「食後の血圧変化」に注目していきます。そして、血圧が低いとどうなるのか、どのような原因や病気が考えられるのかについて解説します。
血圧の数値で体の何がわかる?
血圧の数値からは、体のさまざまな状態を読み取ることができます。
例えば、収縮期血圧が高くなる原因には、動脈硬化によって大動脈の弾力性が低下することが挙げられます。また、甲状腺機能亢進症による血液量の増加などが原因となることもあります。
一方、拡張期血圧が高くなるのは、動脈硬化によって末梢血管の抵抗性が強くなる場合などがあります。
また、自律神経の調節機能がうまく働かないと、血圧の変動が大きくなることもあります。
このように、血圧は、心臓や血管、自律神経、そして全身の健康状態を反映する、重要な指標といえます。
特に、高血圧は自覚症状がないまま進行することも多いため、健康診断などで定期的にチェックすることが大切です。
血圧の測定方法
血圧測定方法について解説します。血圧には、病院や健診施設などで測る「診察室血圧」と、家庭で測る「家庭血圧」があります。診察室での血圧は、聴診器を使う方法や、腕に巻く自動の血圧計を使って測定されます。使われる機器には、アネロイド血圧計や電子式の血圧計などがあります。いずれの場合も、1~2分の間隔を空けて、最低2回は測定し、その平均値を血圧値とします。血圧測定の前の飲酒、喫煙、カフェインの摂取は避けるようにします。
食後の血圧はどうなる?
高齢者や、糖尿病・パーキンソン病などの方では、食後に血圧が下がりやすいことが知られています。
なお、食後低血圧は食事後に血圧が異常に低下する症状を指します。
具体的には、以下のような要件を満たす場合に診断されることが多いです。
食事後2時間以内に収縮期血圧が20mmHg以上低下した場合
100mmHg以上あった収縮期血圧が90mmHgに未満に低下した場合
食後低血圧は、失神や転倒、脳卒中、狭心症のリスクを高めることも知られており、見逃せない問題と考えられています。
食後の血圧が低くなる原因
食後低血圧の機序は、まだ十分に解明されていない部分もあります。
現状では、食後の血圧が低くなる原因について、考えられる原因は以下のようになります。
内臓への血液の集中
食事をすると、消化管の働きが活発となり、内臓に送りこまれる血液が増加します。すると、静脈からの血液量が低下します。
健康な人は、交感神経の活動や心拍数、心拍出量を増加させ、静脈から心臓へ帰ってくる血液を補い、血圧を保つことができます。一方で、自律神経の働きが低下する病気がある場合や高齢者の方では、このメカニズムが十分に働かないこともあります。その結果、心臓に戻ってくる血液が少なくなり、食後低血圧を起こす場合があると考えられます。
神経伝達物質の影響
神経伝達物質であるカルシトニン遺伝子関連ペプチドや、血管作動性腸管ポリペプチドなどは、血管拡張作用を持ちます。これらのペプチド(アミノ酸が結合したもの)が、食後低血圧と関連している可能性があるとする報告もあります。
インスリンの影響
炭水化物やブドウ糖を多く含む食事は、インスリンなどのホルモンの分泌を促します。血液中でインスリンの濃度が上昇すると、血管拡張作用などによって食後低血圧を引き起こす可能性があると示唆されています。
食後の血圧が高くなる原因
通常、食事をとると血圧は下がる傾向にあります。しかし、下記のような場合は血圧が上がってしまうこともあります。
高塩分食
例えば大盛りラーメンを汁まで飲み干すなどすると、摂取する食塩量が過多になってしまうこともあります。そうした場合には、食後に血圧が上昇する可能性があります。
カフェインの摂取
コーヒーなどに含まれているカフェインを摂取すると、血圧が一時的に上がる場合があります。特に、普段コーヒーを飲まない方で、こうした影響が出やすい可能性があります。
動脈硬化が隠れている
食後低血圧を起こす方には、実は動脈効果が隠れているかもしれないといった研究データもあります。
「食後の血圧」についてよくある質問
ここまで食後の血圧について紹介しました。ここでは「食後の血圧」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
食後どれくらい経てば血圧を測定してもいいのでしょうか?
木村 香菜 医師
食後すぐは、消化のために血液が内臓に集まる影響で、血圧が一時的に変動しやすくなります。そのため、できれば食後30分から1時間ほど経ってから測定するのが望ましいとされています。とくに血圧を正確に知りたいときや、家庭血圧の記録をつける場合には、食前か起床後1時間以内の安静時に測るのがベストです。
まとめ
今回の記事では、食後の血圧の変化について解説しました。食後にめまいやふらつきなどの症状が現れる場合、特に高齢者の場合や糖尿病などの場合には食後低血圧の可能性もあります。症状が頻回に起こる場合には、かかりつけ医あるいは内科などで相談してみるとよいでしょう。
「血圧」の異常で考えられる病気
「血圧」から医師が考えられる病気は15個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
循環器系の病気
本態性高血圧心筋梗塞狭心症高血圧性心疾患
脳神経内科系の病気
脳梗塞脳出血くも膜下出血パーキンソン病
アルツハイマー病
腎臓内科系の病気
腎血管性高血圧
慢性腎臓病内分泌内科系の病気
原発性アルドステロン症
褐色細胞腫甲状腺機能亢進症・低下症
糖尿病血圧の異常があるときは、「ただの体質」ではなく、背景に病気が隠れている可能性もあります。健診や家庭での測定値が気になるときは、ぜひ一度医療機関で相談してみてください。
参考文献
高血圧治療ガイドライン 2019(JSH2019)|日本高血圧学会
高齢者の食後低血圧.2024|日本老年療法学会
パーキンソン病(指定難病6)|難病情報センター

