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赤ちゃんの夜泣きに悩むお母さんたちがほっと一息つける場所があります。新潟市で夜だけ開く、母と子のためのカフェ。二人の子どもを育てる、BSN新潟放送・工藤アナウンサーの取材です。

【写真で見る】“夜泣き”に悩む母親たちのためのカフェとは

“夜泣き”に悩む母親たちへ 深夜カフェ「ヨナキリウム」

夜、椅子を片付け、硬いフロアにクッション性のあるマットを敷いていく女性たち。準備が整い午後10時、店内は暗闇に包まれ、この店の一日が始まります。やってくるのは、幼い子どもを育てる母親たちです。

ここは「ヨナキリウム」、子どもの夜泣きに悩む母親たちのための深夜カフェです。

生後4か月の母親(20代)
「柔らかい、温かい、静かだけど落ち着ける雰囲気で、初めて来たとは思えないぐらいリラックスさせていただいている」

営業は毎週水曜夜10時〜翌朝の6時まで。利用できるのは母親と赤ちゃんです。多い日には、5組ほどの母子が訪れます。

なかには、店に着いた途端、張り詰めていた気持ちがあふれ、涙が止まらなくなる母親もいるといいます。

生後11か月の母親(30代)
「孤独感が強くなる、夜って。そういう時に受け入れてくれるところがあるのは、実際来られなくても、『きょうヨナキリウムがやってる日だな』って思うだけで心強いと思う」

「ヨナキリウム」を始めたのは、7歳と4歳の子どもを育てる滝沢日向子さん(30)。2025年7月にオープンしました。

ヨナキリウム代表 滝沢日向子さん
「小さい時はかわいいと思いつつ、『早くでっかくなって1人でトイレに行けるようになってお風呂に入ってくれないかな』って思っていた。でもでっかくなったらなったで赤ちゃんかわいかったみたいな、ないものねだりをしている」

滝沢さん自身も第一子の育児の際、夜泣きに悩み、うつ傾向になった経験がありました。

ヨナキリウム代表 滝沢日向子さん
「ドライブするけど泣き止むまで続く、謎の泣き止ませドライブ。目的地もなければ、夜開いている場所もコンビニ・スーパーとかしかない。ファミレス寄っても赤ちゃんと2人なんてゆっくりできない。いつまで続くのだろうみたいな」

この取材をしている工藤淳之介アナウンサーも、二児の父親です。

“夜泣き”による睡眠不足 親の10人に1人以上が「産後うつ」に

夜間に突然激しく泣き出し、ぐずり続ける子どもの「夜泣き」。一般的には、1歳半前後まで続くことが多いとされます。

工藤アナウンサーの次女も生後5か月ごろは、ほぼ毎日、午後8時すぎから3時間ほど泣き続けていたといいます。

出産後の親のケアなどを行う太田匡哉医師は、「夜泣きの悩みは産後うつを引き起こす1つの要因」と指摘します。

太田こどもとアレルギークリニック 太田匡哉 医師
「(夜泣きで)睡眠不足になると、父も母も疲れてきてしまって自己肯定感が下がってしまう。自分に対して否定的な意見、どんどん不安が強くなって、うつ状態になっていく」

睡眠不足や生活の変化、育児のプレッシャーなどが重なって起こる「産後うつ」。父親・母親ともに10人に1人以上が発症するといわれています。

生後5か月の母親
「夜泣きは、もう2時とか急に泣いて起きて、そこから2時間泣きっぱなしとか」

4歳・生後1か月の母親
「薄暗い中、小さいライト一つで授乳したり、泣いてる子をあやしたりしていると、ちょっと気持ち的になんで私ばっかりこんな大変なんだろうみたいな」

また、妊娠中や産後1年以内に亡くなった妊産婦で最も多い死因が「自殺」です。夜泣きに悩む親への支援は、命を守るという意味でも重要な課題なのです。

注目の裏で“赤字”の現実…「夜の居場所」守るための挑戦

母親たちを支えたい。そんな思いから生まれたのが「ヨナキリウム」です。

ヨナキリウム代表 滝沢日向子さん
「水族館の大水槽、嫌いな人いない。なかなか大人になってそういった時間ない。日々に追われるし、育児もしていたら」

新潟市の専門学校を卒業後、イルカのトレーナーとして働いていた滝沢さん。水族館のように心が落ち着く空間で、育児に追われる母親たちに安心して過ごせる雰囲気を届けたいと考えました。

こうした夜の育児を支える民間施設は、全国でもまだ多くはありません。

「ヨナキリウム」は、全国規模のビジネスコンテストや母親向けのウェブメディアなどから相次いで表彰され、行政からも注目されています。

しかし、運営には大きな課題があります。

ボランティアスタッフらの協力を得ながら営業を続けていますが、5月と6月に取材した2日間の利用者はゼロ。

ヨナキリウム代表 滝沢日向子さん
「開けていても来るか来ないかわからない。予約制じゃないし、駆けこめるようにしてあるから賃借料・人件費かかって赤字」

1回500円だった利用料は、今年度から1時間1000円、4時間2000円に値上げしました。

その代わり、オムツやミルク、ドリンクバーなどを無料にしましたが、利用者は1日平均0.6組にとどまっています。

現在は補助金を活用して運営していますが、支援が受けられるのは残り1年半ほど。それまでに、事業として自立できる仕組みづくりが急務です。

それでも、この場所に救われた母親がいます。店に置かれた「ママノート」には、その思いが綴られています。

【今回はゆっくりヨナキリウムをたんのうできて、また来たいです。素敵な夜の居場所を作って下さり本当にありがとうございます】

産後の孤独な夜に寄り添う場所をなくしたくない。滝沢さんの挑戦は続きます。

ヨナキリウム代表 滝沢日向子さん
「夜の場所をなくさない、というのをずっと心にはおいています。また新しく必要とするお母さんも出てくるだろうし、夜の子育て支援で、子育てしやすい環境づくりにあった方がいいと思う。頑張ります!」

高まる「夜の居場所」の重要性 今後は“男性利用”や“イベント開催”も

上村彩子キャスター:
取材したBSN新潟放送の工藤淳之介アナウンサーは2人のお子さんを育てていて、2人目のお子さんの夜泣きも経験したということですが、今回取材をして、どんなことを一番感じましたか。

BSN新潟放送 工藤淳之介アナウンサー:
改めて、夜泣きによって心と体に大きなダメージを受けている方が本当に多いんだなと感じました。

私自身もそうですが、ミルクをあげてもおむつを替えても、何をしても泣き止まない。それがいつまで続くのか。

そして、この不安がまた夜になると増大します。孤独感や不安がどんどん重くのしかかってくるので、やはりサポートが必要だなと思います。

喜入友浩キャスター:
私も経験がありますが、夜が長く感じるんですよね。「なんで泣いてるんだろう」と考えれば考えるほど追い込まれていくんですよね。

今振り返ると、「もっと余裕を持って接してあげたかったな」と思いますが、その時はいっぱいいっぱいでした。

なので、こんなカフェがあったらいいなと思いますが、男性は利用することができるんでしょうか?

工藤アナウンサー:
私もそう感じるんですが、現在のところは、母親が部屋着ですぐに駆け込めるようにしているので、男性は入れないそうです。しかし今後、男性がOKな曜日やスポットを新たに作りたいとヨナキリウム代表の滝沢日向子さんは話していました。

上村キャスター:
需要がある一方で、「ヨナキリウム」の運営は決して簡単ではないそうですね。

工藤アナウンサー:
夜間営業において、通常の予約とは異なり、赤ちゃんはいつ泣くかわかりません。そうした中で、どのように運営を組み立てていくか模索する中、25日新潟市で「ヨナキリウム」主催の初めてのイベントが開催されます。

こうした取り組みを通じて、新たな収益の柱を設けることで、本体の運営に活かしていきたいということでした。

上村キャスター:
今は共働きや核家族化が進んでいるので、夜の子育てを支える居場所の重要性が高まっています。

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<プロフィール>
工藤淳之介
BSN新潟放送アナウンサー
2歳と生後9か月の2児の父