「変わらず入ってこない」 いまだに続くナフサ不足 シンナーを“再利用”する業者まで
中東情勢によるナフサ不足。国は「十分ある」と繰り返しますが、現場では苦しい状況が続いています。使用済みのシンナーを再利用する苦肉の策も。
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ことし4月、中東情勢の影響に苦しんでいた名古屋市緑区の「ふじい自動車」。ナフサ由来の資材が底を尽きかけていました。板金修理などに伴う、塗装に欠かせないのが「シンナー」。しかし、週に1缶入荷するかどうかの厳しい状態でした。
それが今は…
「変わらず入ってこない。どこで止まっているのか本当にないのか、それは分からないですけど、入ってこないのも現実ですからね。なんとかしてほしい」
アメリカとイランが停戦合意したはずが、状況はまるで変わっていません。
マスキングテープの不足で…ドア外し塗装
塗装がはみださないように貼るマスキングテープもナフサ由来で不足。このため…
(従業員)
「テープを使わないために、ドアを外したりとか工夫をします」
テープをなるべく使わずに済ませるため、わざわざドアを取り外して塗装していると言います。
(藤井社長)
Q.作業効率は?
「作業効率が落ちる。脱着入れれば(余分に)1時間かかる」
塗料を水性に コストは1.5倍
そして、こんな工夫も…
(従業員)「これは水性塗料の赤ですね」
(笠置達哉記者)「まったく臭いがしない」
6月から使い始めたのが『水性塗料』。臭いが少なく、環境や人に優しいのが特徴で、シンナーをほとんど使いません。
しかし、仕入れコストは1.5倍に跳ね上がる上、塗りムラが出やすく作業効率が落ちやすい課題も。
(藤井社長)
「当然仕入れ原価も高くなった。それをエンドユーザーさんに価格転嫁できるかっていうと、なかなか難しい。値段設定高くすると仕事の受注がなくなる。厳しいです」
ここでは結局、コストアップ覚悟で水性塗料に切り替えました。
シンナーを再生?! 使用済みを再利用
一方でシンナーが手に入らない中、名古屋市北区の「池内自動車」では、別の対策を進めていました。
(池内自動車 醍醐知弘広報部長)
「こちらがシンナー再生機になります。再生機を使って、再生したシンナーを活用しています」
「シンナー再生機」とは、使用済みの溶剤を熱で一度「蒸発」させ、それを冷却することでシンナーを8割ほど回収できると言います。
不純物が少し残るため塗装用には使えませんが、刷毛やパーツの洗浄には十分使えます。元々は、経費と廃液の削減を目的に導入した装置。これで、シンナー代約8割のコストカットに成功したと言いますが、これにもナフサ不足の問題が…
(醍醐広報部長)
「再生機でシンナーを蒸留するためには、中にビニールを設置しないとうまく蒸留することができない。このビニールが、今は仕入れができていない。今あるものが最後」
Q.機械自体も使えなくなる?
「実際には再生ができない。困っています」
ネイルサロンにも大打撃 色々ナフサに依存
影響が一向に収まらないナフサ不足。こんなところでも…
名古屋市中村区にあるネイルサロン。仕事で使う道具の多くがナフサ由来です。
(salon de Lange 児山未奈オーナー)
「今いろいろ不足しているんですけども、まず1つ目はナイロンの毛を使ったブラシ。今は入荷が難しくなっています」
そして、ネイル用ジェル。中でも、サロンで絶対欠かせない…
(児山オーナー)
「最も今足りないのは、ジェルネイルをオフするときに使用するアセトン。こちらは全く足りていない」
古いネイルを除去するための溶剤「アセトン」も底をつきかけ、今後の営業に不安が募ると言います。
(児山オーナー)
「除去するものがなくなってしまうと、付け替えができなくなってくるので、めちゃくちゃ困っています」
販売元や製造工場も悲鳴
製品の販売元を訪ねると、深刻な実態が見えてきました。
(ユーアイエー 杉野正樹統括マネージャー)
「販売元としては今、アセトンの製造が厳しい状態にある」
さらに、プラスチック製の製品容器までもが、最大20%値上がりするとの通知が届いていました。販売元も、価格転嫁の検討を迫られています。
そして、ジェルネイルそのものはどうなのか。製造工場で聞くと…
(トルス 幾野光社長)
「樹脂を作る原料自体が全て上がっている。2~3割ぐらいは全体的に上がっている」
ジェルネイルの主原料「オリゴマー」「モノマー」は、いずれもナフサ由来。原料価格は約3割高騰し、製造現場を直撃しました。
(幾野社長)
「もう限界かなと。正直これ以上上がることがあれば、自分たちとしても値上げをしないと厳しいのが現状」
ナフサ不足について国は…「供給できている」
現場の逼迫がいつ終わるとも分からない中、国は…
(高市早苗総理)
「ナフサ由来の化学製品の供給は、今まで半年以上とお伝えしてきたところですが、さらに伸びて年を越えて継続できる見通しとなりました」
アメリカとイランは停戦合意こそ結びましたが、解決には程遠い状況です。
あらゆる産業に打撃を与えている「ナフサショック」はいつ終わるのか…。目処は未だ立っていません。

