「自分で探したいからそっとしてほしい」アパレル店員の声がけに「抵抗あり」が9割…店側の複雑な事情も?客と店員の“根深いギャップ”をSHELLYと考える

買い物に出かけた際、店員から声をかけられることに対し「モヤモヤ」を抱く人が多いようだ。店員側のサービス向上への思いと、客側の「静かに買い物を楽しみたい」という本音の間には、根深いギャップが存在している。
ニュース番組『わたしとニュース』では、この接客・サービスのあり方について、株式会社kocori 接客販売研修講師の坂本りゅういち氏の見解を交え、タレントのSHELLYとともに考えた。
■「そっとしてほしい」vs「顧客化をしたい」客と店員それぞれのモヤモヤ

アパレルショップなどでの店員からの声がけについて、客側はどう思っているのか。
「洋服屋さんに行っても、声をかけられるのは好きじゃなくて。音楽を聴きながら一人でゆっくり見ていたりするので、若い人ほどあまり声はかけてほしくないのかなと思う」(30代女性)
「できればそっとしておいてほしい。プレッシャーですかね」「店員の圧(を感じる)。バイトとかしているとあるじゃないですか、『このくらいの数を売って』と上から言われて、その圧を感じるみたいな」(20代女性)
このように声がけに抵抗を覚える声がある一方で、「近くにはいてほしい。自分から聞きたいことがあったら話しかけやすいから」(20代女性)「自分が優柔不断だから、逆におすすめされると嬉しい時もあるし…難しいですね」(30代女性)といった声もあった。
この接客のモヤモヤ、店員側はどう感じているのか。サービス業で元トップ販売員、現在は接客や販売についての研修講師を務める坂本りゅういち氏に話を聞いた。
「あまり声かけを望んでいないなという雰囲気のお客様は、以前と比べてかなり増えたという実感はある。店側・企業側からすると、『顧客化をしたい』という前提がある。一方で、声をかけられたくないというお客様がいることも重々わかっているし、覚えられるのが嫌だというお客様がいるのもわかっている中で、『私たちはどっちを選ぶべきなんだろう』というのは、実は店員側が一番悩んでいるところでもある」(坂本氏、以下同)
実は店員にとっても悩み多き接客サービス。では、客への声がけにはどんな意味があるのか。
「業種やブランドによって意味合いが変わってくる部分はあるが、接客の入り口を作りたいというのが非常に大きなポイント」
「売り込むための声かけと思っていってしまうと、往々にして失敗することが多い。『お客様のサポートをする人』という気持ちで声をかけにいくというマインドがあるだけでも、『お客様は今この商品を見ていて何を知りたいんだろう』ということに多分興味が向くと思う。そこについて答えてあげるとか、それだけでもお客様は一つ手助けを受けたことにはなる」
大切なのは売り込むことではなく、手助けするという意識。とはいえ、声をかけられるのが苦手な客がいるのも事実。店員にとってはその距離感が難しいところだ。
「見た目だけでその人の内面がわかれば正直苦労はしないが、それを求められているし、お客様は察してほしいという気持ちもある。店員側、販売員側としては、そこでずっと苦悩して、揺れて、悩んでいるところではある」
■「雰囲気をゆっくり見たいという時も…」SHELLYが考える“良い接客”
この店員側の葛藤に対し、SHELLYは共感しつつ、客としての率直な本音を明かした。
「売りたいという気持ちで近づいてこられると察知する。アパレルショップに多いと思うが、なんとなく店に入ってみたけれど、この店に私が欲しいものがあるかわからないし、私自身が欲しいものが明確にわかっていないから、とりあえず雰囲気をゆっくり見たいという時もある。その時にすごくわかりやすく大きなヘッドホンをしたりして『私は自分の世界に入っています』としているのに、『この色可愛いですよね。よかったら鏡に合わせてみてください』などと言われることがある。それは言わなくてもいいのではと思ってしまう…」(SHELLY、以下同)
一方で、「良い接客だな」と感じた理想的な接客体験もあったという。
「こちらのタイミングで店員さんを探す瞬間がある。そろそろ決めようかなと思ったその時に来てくれて、『これって……』と言った時に、『半袖もありますよ』『色違いもありますよ』とプラスアルファの情報をくれると、『そうなんだ。確かにTシャツバージョンが欲しいと思っていました』となる。そういうプラスの(接客)はすごく嬉しい。こちらの雰囲気やボディランゲージを読み取ってくれると嬉しい」
■店員の声がけに「抵抗あり」が9割…「自分で探したいからそっとしてほしい」
アパレルOEM検索の調査によると、「アパレル販売員の声がけに抵抗はありますか」という質問に対し、「とても抵抗がある」「やや抵抗がある」と答えた人をあわせると約9割に上った。
その主な意見としては、「普段は自分で探したいからそっとしてほしい。聞きたいときは自分から声をかける」「迷っている時に複数回声をかけられるとゆっくり一人で見たいと思う」「グイグイ話しかけたいオーラが出ている人はちょっと嫌」「買うつもりで来ていないのに買わなきゃいけない感じがプレッシャー」などが挙げられた。
この結果を受けてSHELLYは「難しいと思うけれど、9割の方が抵抗感を感じているならやり方を変えた方が…。みんな嫌なことをなぜやり続けてしまうのかと思ってしまう」と語った。
一方で、接客体験がその店のファンになるかどうかに直結しているのも事実だ。KeySessionの調査によると、「接客体験は再利用意向にどれくらい影響しましたか」という質問に対し、「どちらかといえば影響した」が約6割、「とても影響した」が約2割とあわせて8割近くの人が「影響あり」と回答している。
声をかけられたくない客と、なんとか接点の入り口を作りたい店員。お互いの思惑がすれ違う「接客のモヤモヤ」だが、店員側が「売り込む」のではなく「サポートする」マインドを持ち、客側も意思表示をすることで、お互いにとって心地よい距離感が見つかるのかもしれない。
(『わたしとニュース』より)
