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直近の1年間で満点が与えられた唯一のモデル

AUTOCARの試乗で、他を凌駕する高評価を獲得しているのが、4代目マツダMX-5(ロードスター)。直近の1年間では唯一、満点の5つ星に輝いている。その理由の根底にあるのは、最新モデルではないことかもしれない。

【画像】今年も乗れることが奇跡に思える マツダMX-5(ロードスター):ベスト・ポイント賞 全115枚

われわれの評価は厳正で、必ずしも最新モデルが多くの星を得るわけではない。出色の運転体験や革新的な技術を有せば、その可能性はあるとしても。


マツダMX-5(ロードスター/英国仕様)

対してND型ロードスターは、2015年に発売されてから11年目。幾度かの改良を受けてはいるが、本来の素性は維持され、劇的に変化したわけでもない。

登場直後、1.5Lエンジン版に試乗した際、当時のAUTOCARは4.5星の評価を与えた。間違いなく、気分爽快な素晴らしいオープン・スポーツカーではあったが、パワーと姿勢制御に若干の物足りなさがあった。星、0.5個ぶんだけ。

ドライバーが求める要素が詰まっている

2018年に大きなアップデートを受けているが、当時は現実的な価格帯にある、新しく魅力的なスポーツモデルの影になっていた。ところが、それらは次々に販売を終了。他社の決断を横目に、マツダの小さなロードスターは提供が続けられてきた。

もし2026年にND型が発売されていたら、間違いなく世界のクルマ好きを湧かせるはず。1.0tほどの車重に、軽快に回る自然吸気エンジン、6速MT、後輪駆動の専用シャシー、簡単に折り畳めるソフトトップ。ドライバーが求める要素が、詰まっている。


マツダMX-5(ロードスター/英国仕様)

確かに、これらの条件を満たすモデルは他にもある。しかし、ロードスターは多くの人が手に届く価格で提供されている。1.5Lのベースグレードなら、英国では2万8605ポンド(約601万円)から。2.0Lのホムラでも、3万6065ポンド(約757万円)だ。

以前より高額にはなった。しかし予算を2倍に増やしても、同等の興奮を味わえ、日常性も備えたモデルを見つけることは難しいだろう。

運転を愛する人によって設計されたクルマ

ロードスターに乗れば、運転を愛する人によって設計された、運転を愛する人のためのクルマだとわかる。ボディは大きくなくても、殆どの体型の大人が、スポーツカーとして理想的な運転姿勢に落ち着ける。

キャビンは、シンプルでエレガント。必要以上に大きいタッチモニターはなく、ステアリングホイールは丸く握りやすい。頭を悩ませるほど複雑な、ドライブモードもない。


マツダMX-5(ロードスター/英国仕様)

ロードスター最大の醍醐味は、シンプルに運転を楽しめること。最初から、完璧といえるチューニングにある。他のクルマなら退屈になりそうな通勤ルートでも、ロードスターなら笑顔になれる。公道前提のサスペンションで、乗り心地も褒められる。

感触豊かなステアリングホイールと、心地良く動かせるシフトレバーを通じて生まれる、ロードスターとの一体感。スピードを高めずとも、喜びに気付ける。

2026年に乗れることは奇跡にすら思える

それでいて、ワインディングやサーキットに向かえば、深く没入できる体験が待っている。ソフトな足回りで、荷重移動しやすく、挙動を把握しやすい。太すぎないタイヤで、不足ないグリップ力を発揮しつつ、滑り出しはマイルド。限界を楽しく探れる。

多くのスポーツカーは、スピードやグリップの高さを自慢とするかもしれない。一方で、運転の楽しさが蔑ろになっている場合も珍しくない。


マツダMX-5(ロードスター/英国仕様)

ロードスターの最高出力は、1.5L版で131ps、2.0L版で183psでしかない。だが軽量・小柄なボディには充分。島国の道路環境にも、見事にハマっている。

1989年から提供されるロードスターは、今や当たり前の存在かもしれない。その反面、興奮を誘うエンジンやMT、軽量なシャシーなどは、極めて希少性の高いものになってしまった。ND型へ2026年にも乗れることは、筆者には奇跡にすら思える。