《建築物省エネ法》改正案が通ったら私たちの生活はどう変わる?マイホームの建築費や初期費用が高騰するって本当?

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電気代やガス代などの光熱費高騰が家計を直撃する中、マイホームの省エネ性能への関心が高まっています。   現在開会中の第221回国会では、「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律」、いわゆる建築物省エネ法の一部を改正する法律案が提出され、審議されています。   近年の法改正により、これからの家づくりでは「省エネ」が標準になりつつあります。このルールの変化が、マイホームの資金計画や毎月の光熱費にどのような影響を与えるのかを解説します。

省エネ基準への適合が家づくりの新常識になる

日本のエネルギー消費量のうち、建築物分野は大きな割合を占めています。そのため、住宅や建物の省エネ化を進めることは、国全体のエネルギー使用量を減らすうえで重要です。
こうした流れを受け、2025年4月から、原則としてすべての新築住宅と非住宅建築物について、省エネ基準への適合が義務化されました。
省エネ基準では、壁や窓などの断熱性が一定水準以上であることが求められます。これを外皮基準といいます。外皮とは、家の外気に接する壁、屋根、窓、床などを指します。断熱性が高いほど、外の暑さや寒さの影響を受けにくくなります。
また、空調や給湯、照明などの設備で使うエネルギー量が基準以下であることも求められます。これを一次エネルギー消費量基準といいます。簡単にいえば、家全体で使うエネルギーを抑えるための基準です。
今後、新しく家を建てる場合、これらの基準を満たさなければ建築が認められません。さらに、2030年度以降には、より高い水準であるZEH基準の省エネ性能の確保を目指して、基準が段階的に引き上げられる見通しです。
ZEHとは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスのことです。断熱性を高め、省エネ設備を使い、太陽光発電などでエネルギーを作ることで、年間のエネルギー収支をおおむねゼロに近づける住宅を指します。

建築費は上がりやすいが補助金で負担を抑えられる

省エネ基準を満たす住宅を建てるには、高断熱の窓や壁、高効率の給湯器、省エネ性能の高い空調設備などを導入する必要があります。そのため、マイホームの建築費、つまり初期費用はこれまでよりも高くなる傾向があります。
たとえば、断熱性能の高い窓にする、外壁や屋根の断熱材を厚くする、高効率給湯器を入れるといった工事は、快適性や光熱費削減につながる一方で、建築時の費用は増えやすくなります。
しかし、国はその負担を軽くするために、補助金制度を用意しています。たとえば、最新の支援制度(みらいエコ住宅2026事業など)では、GX志向型住宅、長期優良住宅、ZEH水準住宅等の新築に対して補助金が支給されます。
補助金を上手に活用すれば、建築費の上昇分を大きくカバーできる可能性があります。家を建てるときは、住宅会社に「この住宅はどの補助金の対象になるのか」「申請は誰が行うのか」「予算上限に間に合うのか」を確認しましょう。
また、住宅ローン控除でも、省エネ性能による差がはっきり出ています。2024年(令和6年)以降に建築確認を受ける新築住宅では、省エネ基準に適合していない「その他の住宅」は、原則として住宅ローン控除を受けられなくなりました。
2026年中に入居する場合の借入限度額は、長期優良住宅・低炭素住宅で4500万円、子育て世帯や若者夫婦世帯では5000万円です。ZEH水準省エネ住宅は3500万円、子育て世帯や若者夫婦世帯では4500万円です。省エネ基準適合住宅は2000万円、子育て世帯や若者夫婦世帯では3000万円となっています。
さらに、親や祖父母から住宅取得資金の援助を受ける場合の贈与税の非課税限度額も、省エネ等住宅であれば1000万円、それ以外の住宅は500万円と差があります。省エネ性能は、建築費だけでなく、税金や資金援助の面でも大きな影響を与えるようになっています。

高断熱・省エネ住宅は毎月の光熱費を抑えやすい

省エネ住宅は、建てるときの費用が高くなりやすい一方で、住んだ後のランニングコストを抑えやすい点が大きなメリットです。ランニングコストとは、住み続ける間にかかる光熱費やメンテナンス費などのことです。
高断熱の住宅は、外の暑さや寒さの影響を受けにくくなります。夏は冷房の効きがよくなり、冬は暖房の熱が逃げにくくなります。そのため、エアコンを長時間強く使わなくても、快適な室温を保ちやすくなります。
また、高効率な給湯器やLED照明、省エネ性能の高いエアコンを使えば、日々の電気代やガス代を抑えられます。光熱費が高止まりしている今、毎月の支出を減らせることは家計にとって大きな意味があります。
マイホームは、数年で終わる買い物ではありません。住宅ローンを返済しながら、20年、30年と住み続けるものです。初期費用が多少高くなっても、その後の光熱費が毎月下がれば、長期的には得になる可能性があります。
たとえば、光熱費が月1万円下がれば、年間12万円、30年で360万円の差になります。実際の金額は家の広さ、地域、家族人数、設備、暮らし方によって変わりますが、長く住むほど省エネ性能の差は家計に効いてきます。
省エネ性能は、快適さにも関係します。冬の脱衣所や廊下が寒すぎる家では、健康リスクも高まります。断熱性の高い家は、部屋ごとの温度差を小さくしやすいため、家族の健康面でもメリットがあります。
中古住宅市場でも、省エネ性能は今後ますます重視される見込みです。2026年度の税制改正大綱では、中古住宅の住宅ローン控除が拡充され、長期優良住宅・低炭素住宅やZEH水準省エネ住宅の場合、借入限度額が最大3500万円、子育て世帯等では4500万円に引き上げられ、控除期間も13年に拡大される予定です。
また、既存住宅の省エネリフォームにも、国や自治体の補助金があります。窓の断熱改修、断熱材の追加、高効率給湯器への交換などは、光熱費削減だけでなく、将来売却するときの評価にも影響する可能性があります。

まとめ

建築物省エネ法の改正により、住宅の省エネ性能は努力目標から義務へと変わりつつあります。これから新築住宅を建てる場合、省エネ基準への適合は家づくりの基本になります。
省エネ性能を高めるには、断熱材や高性能窓、高効率設備などの導入が必要になるため、建築費は上がりやすくなります。ただし、GX志向型住宅、長期優良住宅、ZEH水準住宅などには補助金が用意されており、住宅ローン控除や贈与税の非課税枠でも優遇があります。
さらに、高断熱・省エネ住宅は、住み始めてからの光熱費を抑えやすい点が大きな魅力です。電気代やガス代が高い時代には、毎月の支出を減らせる住宅性能が家計を守る力になります。
これからマイホームの購入やリフォームを検討する人は、目先の建築費だけで判断しないことが大切です。補助金、税制優遇、光熱費、将来の資産価値まで含めたトータルコストで考え、数十年先まで見据えた資金計画を立てていきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー