ブラジルはなぜ“日本キラー”のネイマールを使わなかったのか 名将アンチェロッティが証言した采配の理由「日本から得点できないと思っていなかった」【W杯】

ベンチから戦況を見守ったネイマール(C)Getty Images
名将の勝負勘が冴えた一戦だった。
現地時間6月29日、北中米ワールドカップ(W杯)決勝トーナメント1回戦が行われ、ブラジル代表は日本代表に2-1で勝利。2002年の日韓大会以来となる世界一に向けて前進した。
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セレソン(ブラジル代表の愛称)は、前半から苦戦していた。29分に自陣でのパスからカウンターを受け、佐野海舟の先制弾を献上したブラジルは反撃に転じたが、眼前に敷かれた分厚い日本の守備ブロックを崩せず。1点のビハインドを背負ったまま、前半を終えた。
統率された日本の守りに明らかに追い込まれていた。そんなブラジルを変えたのは、百戦錬磨の指揮官であるカルロ・アンチェロッティの交代策だった。
御年67歳になるイタリア人指揮官は、後半開始早々に負傷したルーカス・パケタに代えて19歳のFWエンドリッキを投入。同時にほぼ4トップとなる布陣を採用して、前線からの圧力を強めると、カゼミーロの同点弾で1-1とした66分には、25歳のFWガブリエウ・マルティネッリを入れ、森保ジャパンを押しつぶしにかかった。
矢継ぎ早に俊英アタッカーたちの投入したアンチェロッティ監督。ともすれば、カウンター攻撃を受けるリスクがはらむ采配だけに、一か八かの賭けのようにも見えたが、采配は見事に的中する。完全に成す術を失い、延長戦を見据えていた日本に、後半アディショナルタイム5分にドラマチックな決勝弾を叩き込んだのは、他でもないマルティネッリだった。
結果論だが、日本戦で過去9得点を決めている大エースであるネイマールの起用も考えられた。その中でなぜアンチェロッティ監督は、若手FWたちに機会を与えたのか。ブラジル・メディア『UOL』によれば、試合後のフラッシュインタビューに応じた指揮官は「後半にチームが日本から得点できないとは思っていなかった」と証言。さらに「前半は中央突破を狙ったパス回しを多用するつもりだったが、とても組織的だった日本の守備力の高さに阻まれ、うまくいかなかった」と振り返り、ゲーム展開を劇的に変化させた交代策の意図を明かしている。
「(エンドリッキとマルティネッリの投入は)何よりもピッチに新鮮さをもたらすためだった。とくにマルティネッリはプレー強度が高い。彼の投入は非常に重要な交代だった。彼はピッチに入ると、常に最高のパフォーマンスを発揮し、チームを助けてくれた。
ネイマールは延長戦を見据えて温存していた。彼とも話をして、もし同点に追いついていなければ、60分か65分に投入するつもりだった。しかし、チームが同点として、さらに日本をコントロールできていたこともあり、私はフォーメーションと戦術を変えたくなかった」
“日本キラー”としても知られる偉才を選択肢として残しながら勝ち切る。アンチェロッティ監督の経験値は、日本とブラジルの“差”に繋がったと言えよう。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]

