北中米W杯は1次リーグ(L)72試合が終了し、32チームで争われる決勝トーナメント(T)に29日、突入した。今大会から出場枠が32→48に増加した中、4年に1度の祭典はどのように変容したのか。現地で取材を続ける岡島智哉記者が【実力差の拡大】、【カボベルデの躍進】、【メッシ】、【3位抜け】、【ハイドレーションブレイク】の5つのキーワードを基に、1次Lを総括した。

 48チーム制で行われた今大会は、【実力差の拡大】が懸念されていた。事実、1次Lでは大差のつく試合も多く、アジア勢が9チーム中7チーム敗退するなど、出場枠拡大の余波は随所にみられる。

 だからこそ、小国【カボベルデの躍進】は大きなトピックとなった。スペイン、ウルグアイに引き分けると、サウジアラビア戦も勝ち点1を積み上げ、未勝利で突破を決めた。GKボジニャは、インスタグラムのフォロワー数が5万人からメジャーリーグの大谷翔平投手(31)をも上回る1700万超となるなど、一躍「時の人」となった。

 世界的スターが活躍する大会になっているのも、実力差の開きによるものが大きそうだ。アルゼンチン代表FW【メッシ】が3試合で6ゴールをマークしたほか、フランス代表FWエムバペ、ノルウェー代表FWハーランドら、取るべき人が取ることにより、大会は盛り上がりを見せている。役者そろい踏みの得点王争いは、今後も大きな注目を浴びることになりそうだ。

 一方、出場枠拡大による【3位抜け】ルールの誕生により、W杯の新たな一面も見えている。各組3位の12チーム中、8チームが突破という新規定により、同組の3チームだけでなく、他組も計算に入れた戦いをするチームが増えた。韓国は第3戦を終えた後、他組の状況を見守りながら吉報を待ち、練習を続けたが無念の敗退となった。

 前後半に1回ずつの飲水タイムを設ける【ハイドレーションブレイク】は賛否両論が巻き起こった。給水中にCMを放映することにより、放送媒体が大きな収益を受けていることが批判の的になり、各試合でブーイングが巻き起きている。現地の体感では圧倒的に否定派が多い印象で、特に欧州勢、南米勢からの「フットボールの文化を変えるな」とでも言いたげなブーイングは威力がすさまじい。

 史上初の3か国共催となり、各チームの移動負担が大きい大会にもなっているが、1次Lで464万人で観客動員数が94年米国大会の最多記録(358万7538人)を超えるなど、商業面では大成功と言えそうだ。決勝Tは3位決定戦を含めて32試合の実施。一発勝負の戦いは、新たなドラマを生んでいくことになるだろう。(岡島 智哉)

 決勝トーナメントに進む32チームが27日に出そろった。1次リーグで生まれた数々の記録や話題を振り返る(日付は現地時間)。

 ▽11日 メキシコ―南アフリカの開幕戦で後半4分に南アフリカの選手にレッドカードが出され初の退場者に。さらに両チーム1人ずつ退場し、計3人の退場者が出た。

 ▽14日 面積約450平方キロ、人口約14万人のキュラソーが初出場。初戦は歴史的初ゴールもドイツに7失点で大敗。アドフォカート監督はW杯最年長の78歳で指揮を執った。

 ▽20日 日本―チュニジアがW杯通算1000試合目に。FW上田綺世が2得点を決めるなど、日本が4―0で快勝。

 ▽22日 フランスFWエムバペが2戦連続ゴール。今大会4得点目でW杯歴代通算16得点。W杯歴代2位でクローゼ(ドイツ)に並んだ。

 ▽23日 C・ロナウド(ポルトガル)が前半に2得点。史上初の6大会連続弾を、歴代年長2位となる41歳138日で決めた。

 ▽26日 初出場のカボベルデが3分けで決勝トーナメント進出。0勝での突破は史上5例目の珍事となった。

 ▽27日 3位通過を争っていたコンゴが勝ち、韓国の2大会ぶり1次リーグ敗退が決定。