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愛好家から人気を集める国産の大型バイクを復刻しようと、富山の企業が奮闘しています。ものづくり県・富山の匠の技を生かす取り組みをお伝えします。

銀色に輝く精密部品。およそ25キロのアルミの塊から削り出されました。何の部品かというと…。

世界中のバイク愛好家から人気の高いカワサキの「Z900スーパー4」、通称”Z1”です。1972年に製造が始まったこの名車。排気量は900cc、最高時速は200キロを超え、人気を集めました。しかしその後はモデルチェンジを繰り返し、心臓部であるエンジンの部品はほとんど廃番になり、メーカーでは作っていません。そんな名車を復活させようとエンジン部品の製造に関わっているのが、富山市の金属精密加工会社「ファインテック」です。
 
ファインテック 鈴木聡誌社長
「今回の大きな(エンジン)部品を作ったのは初めてです」

この会社、普段は半導体製造装置や医薬品梱包装置の部品などを作っていて、バイクには縁がありませんでした。

ファインテック 鈴木聡誌社長
「いつもの仕事はお客さんとの守秘義務があって、オープンにできないものばかりなんですね。自分たちの技術を知ってもらうためには一番いい題材だった」

挑戦のきっかけになったのは、カワサキZを専門に扱う著名なバイクショップ「PAMS」からの依頼です。ファインテックの緻密な設計プログラム技術や、1ミクロンの精度で曲線の穴を削る技術を買われての依頼でした。

ファインテック 鈴木志郎専務
「こっから6.2はまだ ましかもしれん。こっちの8.2はきつい」

しかしこれまで経験したことがない複雑な形状に、開発現場は苦悩の連続でした。

鈴木志郎専務
「(通常は)1時間以内で終わるものがほとんどのところ、今回は丸々1週間使いました。普段より考えることが多く難しいと思いますね」

加工時間はおよそ80時間。機械を夜通し動かし続け、社員達も神経を研ぎ澄ます作業が続きました。加工を担当した若手はかつてないプレッシャーと戦っていました。

製造を担当した庄司祐介さん
「(工具選びを間違えると)台無しにしてしまうので、かなり緊張感はありました。やっぱりそういう(何に使われるかわかる)仕事をやってみたいっていうのがあったので、やっとこういう仕事ができるようになったかと」

迎えた試作品のチェック当日。依頼したバイクショップの反応は…。

依頼主
「できちゃいましたね」「きれいだな…」「これ結構びっくりすると思いますよ。世界的に。かっこよくいきましょうね、これ」
鈴木聡誌社長
「最終的にはちゃんとやって走るところまで」

先月、東京・代官山で開かれた展示会です。エンジン部品が展示されるほか、全国から愛好家が集まり自慢の愛車を並べます。中には、Z1の愛好家として知られる俳優の岩城滉一さんの姿も。アルミ削り出しで作られたファインテックの試作品の美しい光沢に、その場で購入を希望する人も。

展示会を訪れた人
「1号車はもう作りたいなと」
「乗せたいなと言っていただいている」

Q削り出しのエンジン観られてどうですか?
「あれはアートなんで、はいあれは。ちゃんと作り込みたいと思います」

試作品の反応は上々。年内には実際に取り付けて走行テストを予定しています。富山の技を名車に生かす、夢はさらに膨らみます。

ファインテック 鈴木聡誌社長
「年内に実車に積んで、どんな性能が出るか試したい。二輪のエンジンのみならず、延長線上にはクラシックカーの、もう部品が作られていない車のエンジンもできるんじゃないかなと思っています」

富山の企業の挑戦が力強く走り出しています。

甲斐あって、走行テスト前にも関わらず既に2人が購入予定だということです。