「超加工食品」が寿命を縮めるってホント?身体に影響する“あの食品”とは【医師解説】
毎朝コンビニで菓子パンを選んでいる方は、少なくないでしょう。手軽さと価格の手ごろさは魅力ですが、「超加工食品」として分類されるこれらの食品が、長期的な健康に影響を及ぼす可能性が研究者の間で注目されています。本記事では、超加工食品が身体に与える影響のメカニズムから依存性の仕組み、日常で取り入れやすい見直しの方法まで、順を追って解説します。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
超加工食品(菓子パン等)が寿命を縮めるメカニズム
超加工食品は、単にカロリーが高いだけでなく、成分構成や栄養バランスの偏りによって身体へさまざまな影響を及ぼす可能性があります。ここでは、超加工食品が寿命や健康寿命に関係すると考えられている主なメカニズムについて解説します。
超加工食品とは何か:NOVA分類から理解する
超加工食品とは、ブラジルの研究者グループが提唱した「NOVA分類」において「グループ4」に該当する食品のことを指します。この分類では、食品を加工の度合いによって4段階に分けており、超加工食品は工業的な製造プロセスを経て作られ、多くの添加物・保存料・人工香料・乳化剤・甘味料などが使われているものが対象です。
菓子パンはその代表例の一つです。小麦粉を精製し、砂糖・マーガリン・乳化剤・香料・着色料などを加えて製造される菓子パンは、加工度の高い食品に分類されます。食品添加物の種類が多く、一つひとつは安全性の評価を受けて使用されていますが、複数の添加物を長期間摂取した場合の影響については、引き続き研究が行われています。
また、超加工食品には食物繊維が少なく、精製された糖質や脂質が多く含まれる傾向があります。これらは比較的消化吸収が速いため、食後の血糖値が上昇しやすいとされています。血糖値の急激な変動は「血糖スパイク」とも呼ばれ、インスリンの分泌が繰り返されることで、長期的には代謝機能への影響が懸念されています。このような状態は、2型糖尿病や動脈硬化との関連が指摘されています。
さらに、超加工食品はやわらかく食べやすいものが多く、短時間で多くのエネルギーを摂取しやすい傾向があります。そのため、食品の種類や食べ方によっては過剰なエネルギー摂取につながる可能性があります。エネルギーの過剰摂取が続くと肥満のリスクが高まり、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病の発症につながることが知られています。
慢性炎症と酸化ストレスが身体を蝕む仕組み
超加工食品の摂取と「慢性炎症」や「酸化ストレス」との関連については、多くの研究で検討されています。慢性炎症とは、感染症のような一時的な炎症ではなく、低レベルの炎症が長期間にわたって持続する状態です。心疾患や認知症、一部のがんなど、多くの疾患との関連が指摘されています。
超加工食品に含まれる精製糖や脂質、添加物などは、腸内環境に影響を及ぼす可能性があると考えられています。腸内細菌のバランスが崩れると、腸壁の透過性が高まり、有害な物質が血液中へ移行しやすくなる「リーキーガット(腸管透過性亢進)」との関連が議論されています。ただし、その発症メカニズムや健康への影響については、現在も研究が進められている段階です。
酸化ストレスとは、活性酸素などによって細胞がダメージを受けた状態を指します。通常、身体には抗酸化作用によってこれらを抑える仕組みがありますが、生活習慣や食事内容などの影響によって酸化ストレスが増大することがあります。酸化ストレスは細胞の老化や生活習慣病との関連が指摘されており、健康維持の観点からも注目されています。
また、栄養バランスの偏った食生活が続くと、ビタミンやミネラル、抗酸化物質などが不足しやすくなる可能性があります。こうした状態が慢性炎症や酸化ストレスと複雑に関わり合うことで、長期的な健康に影響を及ぼす可能性があるため、超加工食品は摂取量や頻度を意識しながら取り入れることが大切です。
まとめ
超加工食品は、便利で手軽な反面、慢性的に摂取することで身体の慢性炎症・血糖値の乱れ・腸内環境の悪化などを引き起こし、長期的な健康リスクにつながる可能性があります。また、脳の報酬系を刺激する設計が依存性を生み出し、やめたくてもやめられない状態を作り出します。デトックスには急激な禁止より段階的な置き換えが有効であり、食事・睡眠・運動・ストレス管理を組み合わせた生活習慣全体の見直しが、持続可能な変化につながります。まずは今日の食事から、一歩を踏み出してみてください。
参考文献
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
日本肥満学会「肥満症診断ガイドライン」

