白浜町内の商店街で4月に配布を始めた「どうぶつうんちくカード」

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 和歌山県白浜町のテーマパーク「アドベンチャーワールド(AW)」で飼育されていたジャイアントパンダ全4頭が中国に返還されて、28日で1年を迎えた。

 地元の商店街をはじめとする観光事業者は「パンダなしでの観光振興」に向け、歩みを進めている。(津田啓生)

 返還1年を控えた5月、白良浜海水浴場では7年ぶりに「砂まつり大会」が開催された。砂像の美しさを競う催しで、コロナ禍後は中止されていたが、パンダが不在となったことを機に、主催する南紀白浜観光協会が復活させた。

 「(パンダの返還は)観光客に白浜を楽しんでもらえる施策を、地域全体で改めて考えるきっかけになった」。新藤正悟会長は地元側の〈気づき〉を指摘する。今年は夏の花火大会に加えて、9月にも新たな花火イベントを企画していることも明らかにした。

 白浜町商店街連合振興会も4月から新たに、飲食店を中心に加盟店の一部(約40店)で非売品のカードを観光客に配り始めた。様々な動物に関する雑学を記した全20種類の「どうぶつうんちくカード」で、例えばアジアゾウのイラストには「鼻先でピーナッツ1粒でもつかめます」との説明を記載。ウマの場合は「鼻呼吸しか、できません」とのつぶやき調だ。

 店主が客に合う1枚を選んでプレゼントする仕組み。入手したカードはAWで示すと、観覧車に無料で1回乗れる特典が付いている。AWが雑学部分の内容を監修したほか、ホームページで配布店を紹介しており、互いの来客を促す企画だ。

 発案者の1人で、居酒屋を営む浦本晃規さん(50)は「白浜の観光資源は温泉だが、商店街はこれまでパンダやアドベンチャーワールドの恩恵を受けてきた。パンダの返還を機に、一緒に企画に取り組むことで感謝を示したかった」と説明する。

 パンダがいなくなった今、「カードを通じてアドベンチャーワールドとのつながりをこれまで以上に深めたい」といい、「町や観光協会とも協力しながら観光地としての魅力を高め、『新婚旅行の名所』として人気だった昔のにぎわいを取り戻したい」と力を込める。

 大江康弘町長も「パンダがいなくても、自立して観光客を呼び込める、裾野の広い観光地に進化させていきたい」と改めて意気込みを示している。

「レッサー」やペンギンに注力

 アドベンチャーワールドではパンダの返還を機に、飼育する約120種1600頭の動物たちの特徴や生態などの紹介にも力を入れている。

 パンダの繁殖研究や展示をしていた施設「ブリーディングセンター」では、返還翌月からレッサーパンダを移して展示を始めた。木製遊具によじ登る姿が「愛らしい」と人気を集めている。

 希少動物の繁殖研究も進めている。エンペラーペンギンの人工授精に挑戦し、昨年8月、世界で初めて有精卵を確認する成果があった。今年5月には、世界最小とされるコガタペンギンの赤ちゃんも誕生した。

 経営企画室の鄭淞予さん(33)は「パンダから学んだ知見や希少種保護の姿勢を生かしていきたい」と話している。