記事のポイント
H&MがLAに中古の常設店を開設し、ウェイストランドと連携して新旧併売の売場を構築している。
委託販売モデルや300点の初期展開など具体施策を導入し、消費者行動や販売率で成果を評価している。
フリマ出店やイベント開催を通じ認知拡大を図り、循環型モデルの拡大と実店舗への適用を進めている。


LAのヴィンテージ好きにとって、週末の新たな立ち寄りスポットが登場する。

11月20日、エイチアンドエム(H&M)は、ロサンゼルスのノースビバリードライブに新たにオープンする店舗内に、LA発のヴィンテージショップ「ウェイストランド(Wasteland)」と提携した常設のプレラブド(Pre Loved)ショップを開設する。

店内には、デザイナーアイテム、レザーの定番品、そしてH&Mのアーカイブの名品が並ぶ予定である。これは、2024年ソーホーで初登場したのち、米国で2店舗目となるプレラブドショップである。

H&Mのサーキュラービジネスモデル部門責任者であるソフィア・マーレン氏は、「ロサンゼルスは、米国でプレラブドを展開するうえで自然な『第2の都市』だと感じた」と語る。

ウェイストランドとの共同企画でつくる古着コレクション



同社は2025年、同市での投資を強化しており、3つの新店舗を追加オープンし、4月には「H&M&LA」と呼ばれるグローバルイベントも開催した。また、ロサンゼルスのヴィンテージ文化との深い結びつきが店舗立地の決め手になったとし、デザイナーアーカイブ、音楽に影響を受けたファッション、長く続く古着文化の混ざり合いを挙げた。

今回のパートナーであるLA拠点のヴィンテージ店ウェイストランドは、デザイナーからロックテイストまで幅広いアイテムがそろうことで知られている。H&Mのストックホルム拠点のプレラブドチームがシーズンごとのトレンドやカラーを決め、ウェイストランドがアイテムを調達する仕組みである。

マーレン氏は、この協業は真の双方向プロセスだったと語る。ウェイストランドがフィードバックし、それに沿ったインベントリー(在庫)を選び出す流れが繰り返されたという。

価格設定と販売モデル



「LAらしいエッジ感のある仕上がりになった」とマーレン氏は話す。「彼らいわく、『H&Mのブリーフがなくても、まさに同じコレクションをつくっていただろう』とのことだった」。

プレラブドの価格帯はH&Mの通常ラインより高く、価格設定はH&Mのキュレーションブリーフで決められた範囲内でウェイストランドが行う。運用は委託販売モデルで、在庫の所有者はウェイストランド側である。売れた商品については収益分配となる。

LA店舗は初回約300点を展開し、ホリデーシーズンを通じて売り場が常に埋まるよう随時補充を行う。カテゴリーは、デニム、レザー、プレミアムアクセサリーといった実績のあるアイテムに加え、新たにシューズやブーツも試す予定だという。

「ロサンゼルスなら面白い展開になると考えている」とマーレン氏は語る。また、H&Mのゲストデザイナーによるコラボアイテムも一部並ぶ予定で、これは高いコレクション価値で知られている。

「この店舗では特に意味がある。お客様からの関心が非常に高いからだ」と同氏は話す。

一点物を引き立てる落ち着いた店内デザイン



ショップインショップは、H&Mの世界14店舗で展開しているプレラブドのビジュアルフォーマットに沿って設計される。通常ラインとは異なる空間にしつつ、一点物としての個性を際立たせ、落ち着いた上質な雰囲気を保つ構成である。

マーレン氏は、新品と中古品を隣り合わせに置くことは意図的だと説明する。「今の消費者は、新品とヴィンテージを同時に買う。もし同じ場所でその両方が手に入るなら、なおよい」。

認知拡大のためポップアップを展開



認知拡大のため、H&Mはロサンゼルスの人気フリーマーケットにも出店する。

11月23日から、ウェイストランドと提携したヴィンテージトラックのポップアップを4カ所のマーケットで展開する予定だ。メルローズ・トレーディング・ポスト、シルバーレイク・フリー、サンタモニカ・アンティーク・マーケット、ローズボウル・フリーマーケットに登場する。

来場者は、キュレーションされた古着の購入、H&Mの衣類回収プログラムへの寄付、メンバー特典やギフトの提供などを利用できる。

また、これらのポップアップに合わせ、H&Mは自社チャネルや地元クリエイターを通じてLAローンチを発信し、1月にはウェイストランドとともにH&Mビバリーヒルズ店でローンチイベントも実施する。

H&Mのプレラブドは、2年以上前にバルセロナではじまり、その後ヨーロッパ各地に広がった。マーレン氏は、その実績が常にさらなる拡大を促してきたと述べる。

H&Mのサステナビリティ指標と売上



具体的な数字は非公開だが、販売率、平方メートルあたりの売上、そして中古と新品を併せて購入しているかなどの顧客行動で成功を判断しているという。

H&Mの広報担当者によれば、Soho NYCのプレラブドは2025年第2四半期から第3四半期にかけて大幅な売上増を記録したとのこと。なお、2024年においてリセール事業はH&Mグループの総売上の0.6%を占めた。

「もちろん収益や利益の観点からも見ている」とマーレン氏は話す。

同チームはまた、より低い排出量で収益を生むという、H&M全体のサステナビリティ目標への貢献度も考慮している。

他社でも進むサーキュラー展開



なお、プレラブドのような中古品展開をはじめたブランドはH&Mだけではない。

2022年11月、ザラ(ZARA)は英国で「Pre Owned」プラットフォームを立ち上げ、衣類の修理・リセール・寄付を一元化したデジタルハブを提供した。リーバイス(Levi’s)は2020年10月に「SecondHand」プログラムを開始し、リペア済みデニムや認証ヴィンテージに注力した。

そしてパタゴニア(Patagonia)は、複数のパイロットを経て2017年に「Worn Wear」を通年の常設プログラムとし、サーキュラーリテールの先駆者としての地位を固めた。

H&Mの循環型モデルの全体像とLA店オープンの意義



プレラブドは、H&Mが試してきた複数のサーキュラーモデルのひとつで、リペア(Repair)サービス、H&M製品を再構築するリメイク(Remake)、そしてケア用品シリーズのテイクケア(Take Care)なども含まれる。

マーレン氏は、中古品提供がもっともスケールしやすく、顧客にももっとも理解されやすいと説明する。「共通しているのは『すでにある製品の寿命を延ばす』という点である」と同氏は語る。

同社は今後、デジタルリセール体験の改善や、オンラインリセールプラットフォームのセルピー(Sellpy)とのキュレーションパートナーシップの進化にも取り組む予定だ。

現時点では、今回のLA店オープンが、H&Mの実店舗における中古品展開を拡大する重要なステップとなる。

「別の目的で来店したお客様が、偶然セカンドハンドに出会う。そんな場面をつくれたなら、私はとても幸せだ」とマーレン氏は語った。

[原文:H&M introduces Pre Loved shop-in-shop with LA’s Wasteland

Zofia Zwieglinska(翻訳、編集:藏西隆介)