「高齢者が絶叫マシンに乗ってはいけない理由」はご存知ですか?医師が監修!

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家族での特別なおでかけ先に、テーマパークはぴったりです。

非日常的な刺激を得られる絶叫マシンは、テーマパークの花形アトラクションといえるでしょう。

しかし、絶叫マシンによっては年齢制限があり、高齢者は乗車できないことをご存じでしょうか?

今回は年齢制限がある理由や、高齢者が絶叫マシンに乗ってはいけない理由を紹介します。

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監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

年齢制限がある絶叫マシンはある?


多くの絶叫マシンには年齢制限があり、残念ながら高齢者は乗車できません。
高齢を理由に乗車を制限される年齢は各テーマパーク、各アトラクションによって異なりますが、59歳・60歳・62歳・64歳をボーダーラインとしているテーマパークが多いようです。
なぜテーマパークは高齢者の乗車を制限しているのでしょうか?それは絶叫マシンが高齢者に過度な身体的・精神的影響を与えることが心配されるからです。

高齢者が絶叫マシンに乗ってはいけない理由


高齢者が絶叫マシンに乗ってはいけない理由は、高齢者は身体的特徴として体調を崩しやすく、回復力も低下しているためです。以下は高齢者の身体的特徴の一部です。

身体の生理的老化

臓器機能の低下

ストレスに対応できる潜在能力(予備力)の低下

回復力の低下

外部環境の変化への対応能力(恒常性維持機能)の低下

高齢者は身体が弱いだけでなく、身体的・精神的ストレスからの回復力も低下しています。
絶叫マシンのようなストレスのかかるアトラクションへの乗車は、高齢者に大きなリスクをもたらす可能性があります。

絶叫マシンが身体に与える影響とは


もし高齢者が絶叫マシンに乗ると、どのような影響が出るのでしょうか。以下で具体的に解説します。

脳に影響を与える可能性がある

絶叫マシンに乗ると脳が頭蓋骨のなかで揺さぶられ、脳の血管が引っ張られたり出血したりするリスクがあり、脳に血液が送れなくなる恐れもあります。
絶叫マシン乗車時に脳の血管がダメージを受けることで、脳梗塞、脳出血、眼の水晶体や網膜の出血が起きた症例もあるようです。

心臓に影響を与える可能性がある

ドイツで行われた18~70歳の男女を対象とした実験では、ジェットコースター乗車後、43.6%の被験者に不整脈が見られたそうです。
不整脈とは、脈が通常とは違うペースで打たれる状態で、息切れ・めまい・胸の痛みなどの症状を伴うこともあります。絶叫マシンで生じる身体的負担は、ある程度の運動をしたときの負担と同程度です。
しかし、そこに興奮や恐怖などの精神的ストレスが加わるため、心臓への負担は大きくなります。

乗り物酔いをする可能性がある

高齢者が絶叫マシンに乗って乗り物酔いを起こすことは大きなリスクです。高齢者は環境に適応する身体能力、恒常性維持機能が低下しています。そのため、乗り物酔いで頭痛・めまい・吐き気・嘔吐などの症状が生じると回復に時間がかかります。

まとめ

テーマパークが高齢者の絶叫マシンへの乗車を制限しているのは、身体的・精神的リスクが高いためです。
高齢の方とテーマパークで過ごす際は無理のない範囲で楽しめるよう配慮し、家族や友人みんなでテーマパークでよい思い出を作ってくださいね。

参考文献

心疾患をお持ちの方が安全に楽しく旅行を過ごすためのポイント(公益財団法人 心臓血管研究所付属病院)

「乗り物酔い」を防ぐには(一般社団法人 千葉市医師会)