初秋はヘッドライトを点けていない車が目立つ

夏から秋にかけて日没時間は早くなっていきますが、夏の名残で夕方になってもヘッドライトを付けずに走行する車が見受けられます。

警察や自治体が主体となって「秋の交通安全運動」を実施して注意を呼びかけていますが、秋の夕暮れどき、どのような点に気をつけて運転するべきなのでしょうか。

秋になると日没時間が2時間以上早まる

7月初旬の日没時間は、19時前後だったのに対し、11月初旬になると16時40分前後と、2時間以上日没時間が早くなります。

警察庁が公表している平成29年から令和3年までの月別、時間帯別の死亡事故は10月から11月になると件数が増え、17時から19時台の事故発生件数がかなり多くなっています。

©ambrozinio/stock.adobe.com

事故の特徴としては、「自動車対歩行者」の交通事故が増えており、日没時間帯の事故は昼間の時間帯と比べて約3.6倍も増加しています。さらに、「自動車対歩行者」の事故では、80%以上が歩行者の道路横断中に起きているのです。

つまり、ドライバーが歩行者を見落としやすい時間帯に死亡事故が多く発生しているということになります。これを防ぐには、早めのヘッドライト点灯が不可欠です。

ヘッドライトは15時に点灯!早すぎるということはない

では、秋の夕暮れどきに重大な事故を起こさないためには、どのような点に気をつけるべきなのか、安全運転講習会などを開催している教習所の担当者に話を聞きました。

「日没時間が早くなる時期は、早めにヘッドライトを点灯させることが重要です。教習所では10月に入ったら、ヘッドライトを15時には点灯させるように指導しています。

また、警視庁では日没前にヘッドライトを付けて事故防止を図るようにするための「トワイライト・オン運動」も実施しています。この運動では、点灯推奨時間を定めていて、10月は16時半に、11月は16時にヘッドライトを点灯して走行することを推奨しています。

もちろん天候や気象状況によって、ヘッドライトの点灯時間は変わります。しかし、早い時間から点灯させた方が視認性が高まるので、安全性向上に寄与します。推奨時間よりも前倒ししてヘッドライトを点灯させることをおすすめしています。」

ヘッドライトを付けるメリットは、ドライバーが歩行者や自転車に気づきやすくなるだけではありません。車を運転していない人も車の接近に気づきやすくなります。

明るいうちからヘッドライトを点灯させることで、相手に自車の存在を知らせることが容易になります。事故を防止するために、車が接近していることをアピールすることも大切なのです。

日没の時間帯は昼間よりも速度を抑えよう

警察庁は、日没時間帯に自動車と歩行者の死亡事故(信号機のない横断歩道)において、自動車の危険認知度を速度別に分析しています。それによると、時速40キロから60キロでの事故が多くなっており、車が横断歩道の手前で十分に減速できていない可能性があると分析しています。

危険認知度速度とは、ドライバーが歩行者や自転車などの「相手方」に気づき、危険を認知した時点での速度。つまり、ドライバーが危ないと思った瞬間に時速何キロ出ていたのかを示した速度になります。

©JOE LORENZ DESIGN/stock.adobe.com

この分析について、前述の担当者は、「日没時間帯は、周囲が急に暗くなり、歩行者や自転車に気づきにくくなる時間帯です。横断歩道付近だけでなく、すべての道路において昼間よりも速度を抑えることで、歩行者や自転車の急な横断、対向車の車線逸脱といった事故を未然に防げるのです。」と話します。

日没時間が早くなる秋の季節。紅葉を楽しむためにドライブに出かけることも増えるでしょう。夕方になったら、日が落ちる前にヘッドライトを点灯し、普段よりも速度を控えめにして、より慎重な安全運転を心がけてください。