左端が菅野、右端が原監督

「原監督にしてみれば、エースである以前に自身の甥っ子ですから、愛ゆえに厳しくあたってしまう。でもいま、それが裏目に出ているんです」

 巨人番記者がこう語るのは、球界一親密な “師弟関係” である、原辰徳監督(61)と菅野智之(29)のことである。

「菅野本人だけでなく、番記者にも、原監督は事あるごとに小言を言うんです。好投しても、手放しで褒めない。春先の不調時は、厳しいコメントばかり。

 菅野からすれば、『ここ数年エースとして貢献したのに、なぜそこまで上から目線で言われなきゃいけないのか』という気持ちが強い」

 菅野といえば、東海大学在学時に日本ハムが入団交渉権を得たが、それを拒否。“一浪” してまで、「伯父さん」が監督を務めている巨人に入った。

「なのに、『もっと伸び伸びプレーできる球団に行けばよかった。(原監督が)うっとうしい』とまで、親しい人に漏らしはじめているんです」

 伯父と甥の間には、もうひとつの埋まらない溝がある。スポーツ紙デスクが語る。

「前々から公言しているが、菅野にはメジャーリーグ移籍の意志がある。監督との関係がうまくいっていない最近になって、『2021年オフの海外FA権取得を待たないで、2020年オフにポスティングでメジャー移籍したい』と気持ちを固めつつある。

 それに対して、原監督は『よりによって、なんで俺が監督のときにメジャーに行きたがるんだ』と、反対の意向なんです」

 だが、ここでも空回りしているのは原監督だけのよう。

「巨人にとって『ポスティング禁止』は、読売新聞グループ本社主筆の渡邉恒雄氏が、意地でも守ってきた “鉄の掟”。ただ、健康上の不安がある渡邉氏に、これまでのような影響力はなくなった。

 代わって、去年就任した山口壽一オーナーが巨人の実権を握っているが、山口氏は『ポスティングを認めないのは時代に合わない』という考えの持ち主。

 これまでの圧倒的な実績や入団時に “一浪” させたこと、そして高額な年俸(今季推定6億5000万円)を払い続けたときの懐ろ事情も考慮して、『特例だが、FAより前倒しで、メジャーに行く夢をかなえさせてやってもいいじゃないか』という声が、球団内部からも聞かれるようになった」(球団関係者)

 前出のスポーツ紙デスクは、菅野には頭に描いている「理想のプラン」があると話す。

「菅野が、今シーズンのオフではなく、1年後の2020年シーズンのオフでのメジャー移籍を目指すのは、来夏の東京五輪に出場するため。メジャーに移籍したら、チームから反対されて出場できないでしょう。

 それに、五輪での活躍を手土産に、メジャーの土を踏みたい。さすがに原監督も、実際に菅野が『メジャーに行く』と表明したら、伯父として格好がつくように、『俺が送り出したい』と “親心” を見せるとは思いますよ」

 2019年シーズンは、不安定な投球も多い菅野。原監督がマウンドへ直接声をかけに行く姿も、たびたび見られる。最後は、甥っ子の夢を応援する “あしなが伯父さん” になれるか。

(週刊FLASH 2019年9月17日号)