東北大院生らが事業化する文章推敲するAI
ラングスミスは文章の推敲支援を事業の柱に据える。書き手が「こんなことを言いたい」と思う粗い文章を入力すると、AIが多数の文書候補を提案する。言葉選びや言い回しを“考える”から“選ぶ”に変える。作業負荷を大幅に減らせる。
まずは英語論文の推敲支援としてサービスを始める。論文は文章の構造がそろっていてAIで扱いやすい。公開されている100万報以上の文章をAIが学習できる。栗林さんは「推敲はほとんどの研究室で困っていて需要はある。まず論文で成功させ、技術書やビジネス文書、教育、医療などに広げたい」としている。
起業してサービスを始めるのは研究のためでもある。推敲支援など文章を生成する技術は性能を評価しづらい。誤り判定や単語の予測変換は正解率として性能を評価できる。だが良い言い回しが一つではないように、文章生成AIは正解率では評価できない。被験者を集めて文を書く時間を計り、短くなれば有効とする研究が多い。
伊藤さんは「研究のために被験者を集めるなら、事業化してサービス提供した方がフェアだ」という。AIは研究と社会実装が不可分だ。AIで人間のより深い思慮を支援しようとすると効果評価や論文化が難しくなる。だがサービスとして認められると、よりデータが集まり、より面白い問題に挑戦できる。
ラングスミスの経営面は、AIの技術開発や事業化を支援するマシンラーニング・ソリューションズ(東京都千代田区)がサポートする。若い2人は技術開発に集中する。
生命科学や材料などの実験中心の領域では博士号をとると一人前として認められ、自分のしたい研究ができるようになる。AIでは修士課程在学中でも自分たちで起業し、実用化するチャンスがある。2人は「(新規株式公開など)一発当たればうれしいけれど、それよりも自然言語処理を皆が手放せない技術にしたい」と声をそろえる。普通の若手研究者の道に、起業や社会実装が転がっている。
