左から高橋 周平選手、渡邉 諒選手

 2015年、2年連続となる夏の甲子園出場を果たした東海大甲府。2012年夏の甲子園でベスト4の成績を収めたように全国大会での実績も十分で、また大型選手を輩出してきた学校でもある。今回は、そんな東海大甲府のつながりについて紹介していきたい。

1980年代から全国の強豪校へ成長

 1946年(昭和21年)に山梨高等経理学園として創立した東海大甲府。1974年に学校法人東海大学の傘下に入り、さらに2014年に改名し、現在の東海大学付属甲府高等学校になった。東海大甲府では、1年時には全生徒が何らかの部活動へ入部するという制度が設けられている。学業以外のことにも打ち込むことで、新たな出会いや目標などを見つけていくことを後押しするというこの制度のもと、アーチェリー部の全国大会出場、吹奏楽部ではコンクールやコンテストで優秀な成績を収めるなど、様々な部活が活発に活動している。

 野球部も他の部に負けず活動している。1958年に創部され、甲子園初出場は1981年の第63回全国高等学校野球選手権だった。この出場を機に甲子園常連校となっていく。1985年選手権、1987年選抜でベスト4入りを果たし全国トップクラスの強豪校へと昇華していき、山梨県の第一勢力として君臨するようになる。その後も上位進出が続き、近年では2012年にベスト4入りを果たしている。春夏通算17回出場を誇り、まだ優勝はないものの春夏合わせて28勝17敗という成績は素晴らしいものがある。

 2014年は、東海大総監督の原 貢氏が逝去。東海大甲府の村中 秀人現監督は、この夏に「(原さんへ)打って打って、打ちまくる攻撃野球を見せたい」と意気込みを述べた。そして、その村中監督の言葉にナインも発奮する。その年の夏のチーム打率は、3割9分4厘と高打率を残し、山梨大会を勝ち上がると、翌年2015年夏には3割8分8厘を記録し、強豪集う山梨県でも圧巻の強さを見せている。

 その強打はなぜ実現できるのか?それは「逆方向でも引っ張る打撃」をモットーにしていることにある。これは村中監督が現役時代に痛感したことだという。また、甲子園でも勝ち上がるチームはセンター方向が上手いチームが多いので、それを見て、センターから逆方向へ強い打球を打ち返すことを心掛けている。振り返れば2012年に卒業した中日の高橋 周平選手は高校通算70本塁打を放っているが、逆方向にも本塁打が打てる選手であった。

 その技術はしっかりと今も根付いており、昨年の夏の甲子園でも逆方向に鋭く打ち返す打撃が目立っていた。また昨秋の関東大会では春日部共栄(試合レポート)、霞ヶ浦(試合レポート)をコールドで破り、ベスト4。25年ぶりの選抜出場へ大きく前進している。

 毎年毎年選手が入れ替わる中でも、強打の伝統を継承しているのは素晴らしいことだ。今後もこの伝統をしっかり引き継ぎ、甲子園常連校として未だ成し遂げていない甲子園優勝を目指し、さらに邁進する。

[page_break:近年の卒業生]近年の卒業生

 OBを振り返れば、ドラフト1位指名となった高橋 周平、渡邉 諒を筆頭に強打の選手が多い。今年も破壊力ある抜群のチームだけに、要注目だ。

■2009年卒・長澤 健弘(国際武道大−鷺宮製作所)・神原 元(国際武道大−千曲川硬式野球クラブ−元武蔵ヒートベアーズ)

■2010年卒・渡辺 圭(東海大−日本通運)

■2012年卒・橋本 優哉(桐蔭横浜大)・高橋 周平(中日ドラゴンズ) ※2012年インタビュー

■2013年卒・神原 友(東海大)・石井 信次郎(東海大)

■2014年卒・渡邉 諒(北海道日本ハムファイターズ)・山本 瞬(東海大)

■2015年卒・石塚 連太朗(東海大)・矢澤 陸(神奈川工科大)・下東 稜(神奈川工科大)・枝川 大哉(山梨学院大)・久野 廉太郎(鶴見大)・望月 大貴(東海大)・山田 克志(専修大)

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