■万吉:
男子サッカーはモロッコにも勝ち、決勝トーナメント進出を決めたようだね。これは予想外に嬉しい事だな。しかし、翌日のメディアの扱いはスペインに勝ったときほどではなかった。開幕してメダル獲得者が出たせいか、扱いは3番手4番手ぐらいだった。

★珍蔵:
本当はもの凄い事だと思うのだけどね、スペインを破りモロッコに勝ち、12年ぶりの予選突破をした事は。しかも失点ゼロはメキシコと日本だけだ。これはどんなに大きく扱っても扱い過ぎるという事ではないニュースだよ。特にスペイン戦の勝ち方は内容的にも互角以上で勝ったところが嬉しい。まあサッカーファンの言い分だが。

■万吉:
翌日の韓国・中央日報ニュースサイトのアクセスランキングトップが「日本サッカー、無敵艦隊スペインを撃破」となっていた。韓国人のほうが正当に評価しているようだ。自国がメキシコと引き分けたニュースは2位だったな。

中国も「アジアの誇り」などと言って日本を持ちあげていた。普段嫌っているくせに、こういうときだけは「同じアジアの一員でよかった」、みたいな顔をする。やはり中国はしたたかな国だ。

★珍蔵:
スペイン戦の前半は本当に素晴らしかった。親善試合のメキシコ戦を見た時、今までと同じチームなのか、と思う程の様変わりには驚いたが、スペイン戦もメキシコ戦の勢いそのままだった。

それは弱者が強者に対してする戦い方ではなかった。ボールは支配されていたが、僕には互角の戦いに見えた。スペインのアイディアの無さとディフェンスのトロさ、あるいは日本の前線からのプレッシャーと速攻の素晴らしさが際立った試合だった。特にサイドの攻防では常に互角、もしくは優位に立っていた。あのスペイン相手に、である。スペインは個人の力は凄いが、チームとしてはA代表に遠く及ばない。ホンジュラスにも負けたようだが、それも分かる気がする。グループリーグでのスカウティングなど、バカにしてやっていなかったのではないか。慌てふためいて行う攻撃は雑だった。スペインは日本に4-0ぐらいで負けてもおかしくなかった。

■万吉:
これで男女とも、ますますサッカーをやる子どもが増えていくだろうな。最近は普段着にサッカーのユニフォームを着て歩いている子どもを結構見かける。かつて子供はみんな巨人の野球帽をかぶっていたものだが。日本サッカーは、「サッカーが強いからサッカーをする→裾野が広がる→さらに強くなる…」という好循環のサイクルに入ったのかもしれない。

大阪では今でも昼間から阪神の野球帽をかぶっているオッサンがたくさんいるが、悲しいかな、皆おしゃれとかモダンとか裕福には見えない。野球というスポーツは野暮ったい部類に入ってしまったのかな。やはりWBCの様な一方的なイベントでもやった方が良いのだろうか。それにしても日本人はオリンピックが好きだな。

★珍蔵:
アメリカとか欧州各国はオリンピックに対してどうなんだ?スペインではサッカーの予選敗退で監督がボロクソ言われているようだが。

■万吉:
アメリカ三大ネットのテレビニュースがオリンピックの話題をトップに持ってくることはない。ニューヨークタイムズもオリンピックの話題は通常のスポーツページで、扱いフロントページに持ってくることは絶対にない。欧州でも例えばスペインやイタリアのトレーダーがマーケットの動向を忘れて熱中するのはサッカーだけだろう。

フロントページといえば、オリンピックが開幕して間もなく女子重量挙げ三宅選手の銀が一般紙のトップ一面を飾っていたのは少々驚いた。新聞が普段から重量挙げという競技をきちんと報道しており、国民の期待も高く三宅選手に注目が集まっていたというなら異論はない。しかし重量挙げのことなど日本選手権すらろくに取材していないのに、こういう時だけ大騒ぎする。オリンピックが終わってしまったら重量挙げのニュースが新聞に掲載されることはなくなるだろうな。

★珍蔵:
確かに、なでしこの場合もそうだったが、一時的にスポットライトを浴びせるだけでは「女子重量挙げ」というスポーツにとっての永続的な発展に貢献しないだろう。こうしたマスメディアの報道姿勢は、その分野に生きる人たちにとって不満が残るだろうな。まあなでしこの場合はオリンピック後の人気が問題だが。

■万吉:
マスコミというのはそういうものかもしれないが、メディア環境と情報の流れが劇的に変化している中では、センセーショナリズムを排し、専門性を高めることでしか旧来の活字メディアは生き残りが図れないと思うのだがね。