シーズン終盤になって、クライマックスと無縁のわがベイスターズは、スポーツニュースでも、あまり採り上げられなくなってしまった。最下位も確定して、あとは、もう消化試合だ。

 こうなってくると、やはり噂が盛り上がってくるのが、ベイスターズの身売り話だ。いくつかの企業名が挙がっているが、最近思いついたのが、ユニクロがいいかもしれないということだ。

 最初に断っておくが、これは私の妄想だ。しかし、意外によい思いつきじゃないかと思っている。まず、ユニクロ・ベイスターズという語感がよい。また、ユニクロはニューヨークの五番街と東京銀座に旗艦店舗をオープンさせるなど、世界に羽ばたく企業でイメージもよい。

 さらに、ベイスターズはユニクロと接点がある。ユニクロは山口県が生んだ偉大な企業だが、ベイスターズも原点は山口県なのだ。1950年に発足した大洋ホエールズは、1952年まで山口県の下関市営球場をホームグラウンドとして使用していたのだ。だから、いまでもベイスターズは、オープン戦や公式戦を下関市営球場で行っている。同郷のよしみで、ユニクロがベイスターズのスポンサーになってくれる可能性はゼロではないと思う。

 ユニクロにもメリットはある。世界に展開するユニクロの店舗で、ベイスターズのユニフォームを販売すればよいのだ。他のアパレル企業では売れないオリジナル商品になるだろう。もしかしたらブームに火が付いて、世界中の人たちがベイスターズのユニフォームを着るようになるかもしれない。

 私にユニクロのコネがあれば、いますぐにも打診に行くのだが、残念ながらいまのところ接点がない。だからベイスターズの球団職員が、とりあえず売り込みに行って欲しい。もちろん、手ぶらというわけにはいかないだろうから、まず本気であることをアピールするために、ベイスターズのユニフォームをヒートテックに変えることから始めたらどうだろうか。

■森永卓郎「ハマスタから遠吠え」
第四回〜ショウアップナイター
第三回〜なぜベイスターズは弱いのか
第二回〜私がベイスターズに望むもの
第一回〜私がベイスターズファンになった理由

森永卓郎(もりながたくろう)
昭和32年生まれ 東京大学経済学部経済学科卒業
日本専売公社、経済企画庁総合計画局、(株)UFJ総合研究所などを経て、現在、獨協大学経済学部教授。専門は労働経済学。主な著書に『年収300万円時代を生き抜く経済学』光文社2003年、『しあわせの集め方 B級コレクションのススメ』扶桑社2008年など多数。
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