マウリツィオ・サッリ監督が率いるナポリは、25年ぶりに単独首位に立った。スクデットを争うライバルたちとの試合をすべて制しての快挙だ。数カ月前には考えられなかったことである。だが、ナポリは11人のレギュラーのうち、7人が昨季と同じ。ラファエル・ベニテス監督からサッリ監督になったことで、何が変わったのだろうか。『Gazzetta Tv』で、サッリ監督のマネジャーであるアレッサンドロ・ペッレグリーニ氏は次のように述べている。

−サッリ監督には魔法の杖でもあるのでしょうか?
「それはない。だが、彼は選手たちの心をつかんだ。選手たちはサッカーの師としてサッリを称賛している。監督は選手たちに笑顔でいる力をもたらしたんだ。幸せであれば、どんな結果も出すことができる。彼の最初の目標は、みんなに情熱を取り戻させ、ナポリの人たちが自分のチームを誇れるようにすることだった」

−アウレリオ・デ・ラウレンティス会長はサッリ監督を「先生」から「教授」にしましたね。
「カルチョはデ・ラウレンティス会長に感謝すべきだ。彼の見る目がなかったら、サッリのような監督の素晴らしさを称賛することはできなかったのだからね。我々は、彼を評価し、夏に信頼を示してくれた会長に感謝している」

−あなたはサッリ監督のことを「ノーマル・ワン」と称しました。ジョゼ・モウリーニョ監督の逆ですね。なぜですか?
「マウリツィオは見たままなんだ。コミュニケーション能力に優れ、ピッチでの密な仕事と、技術への関心と、スタッフによる科学技術の採用をうまく組み合わせている。最終ラインの動きを研究するためにドローンを使ったことも、最初は皮肉を言う者たちがいた。だが今では、何人もの監督がそれを採用している。サッリが『ノーマル・ワン』なのは、自然体な人だからだ。彼の強みは、皮肉にある。昨日のインテル戦で勝ったときも、彼は残留まで勝ち点9だと言っていたよね」

−夏の時点でナポリは上位を争う戦力とみられていませんでした。
「ナポリはライバルたちと同じ額を投資することなく、素晴らしいマーケットをした。予算とサラリー上限で言えば、ナポリはリーグの5番手か6番手だ。ミランが(アンドレア・)ベルトラッチを獲得した金額だけで、アランや(ペペ・)レイナ、(ヴラド・)キリケシュ、(エルセイド・)ヒサイを獲得した」

−人生と同じで、サッカーでも金がすべてではないということですね。
「そのとおりだ。サッカーが素晴らしいのは、サッリのような監督たちがいるからだよ。彼はプレーとアイディアであらゆる結果を出すことを可能にしている」

−守備システムについてですが、ナポリはたった3試合で完璧に監督の考えを吸収しました。
「彼についていった選手たちが素晴らしかったんだよ。マウリツィオにとって、守備とは人ではなくボールを追うことだ」

−夏の時点ではベニテス監督との比較が何度もありました。今はサッリ監督に軍配が上がっていますね。
「今のナポリにもベニテス監督時代のなごりがある。彼はナポリにビッグクラブのメンタリティーをもたらした。相手を攻め、どの試合でも自分たちのプレーをしようとするメンタリティーだ。ベニテスとサッリの違いは、前者が絶対のシステムに頼っていたところにある。4-2-3-1では、(マレク・)ハムシクのような最高級の選手がシステムに合わせなければならなかった。だが今は、マウリツィオが選手たちに合わせている。違いをつくるのは、最高級の選手たちだからだ。だからこそ、サッリは(ロレンツォ・)インシーニェを最初のトップ下から左サイドに動かしたんだよ。ロレンツォはあの位置でさらに決定的になれる」

−サッリ監督の契約は来年の6月30日までです。ほかのクラブが関心を寄せることもあるでしょう。契約延長のコンタクトは?
「サッリとナポリの契約は1年で、翌シーズンの延長オプションがついている。我々はまったく問題ないと考えており、しかるべきときに会長と話すよ」