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●Android"L"の特徴 その1米Googleは6月25日(現地時間)、米カリフォルニア州サンフランシスコで開催した開発者会議「Google I/O 2014」において「Android L Developer Preview」を公開した。これは"L"で始まるAndroidの次期リリースを開発者らにプレビューと公開するもので、間もなく提供が開始されるとみられる正式版の機能を事前に試すことが可能になる。Android "L"で搭載される機能の数々をみていこう。

・Material Designとマルチスクリーン

GoogleがAndroidならびに同社Webアプリの数々で大々的に採用を進めていこうとしているのが「Material Design」だ。単にボタンや枠といったUIパーツのデザインだけでなく、各種アニメーションや画面遷移など、わかりやすさとシンプルさを主体としている。その最大の特徴はスマートフォンからタブレット、PC、TVに至るまで統一的に利用できる環境を用意することで、画面サイズやデバイスに応じて画面が自動的に最適化されるマルチスクリーン対応にある。

・Enhanced Notifications

Androidのロック画面や他のアプリの動作中に、他のアプリでのNotificationをフローティング形式で表示する仕組み。ロック画面から直接操作したり、あるいは他のアプリの操作中であっても必要に応じてすぐに返信や確認が可能など、iOS 7等でお馴染みの機能。

・Recents画面

最近編集した文章などを「Recents」の項目に表示し、ドキュメント類から直接タスクやアプリを実行できる仕組み。

・Project Volta

Android "L"で導入される新しい電力管理ツールとAPI。バックグランドタスクを含む各アプリやプロセスの実行状況の履歴を管理し、バッテリ駆動時間を延ばすために活用できる。

●Android"L"の特徴 その2・BLE Peripheral Mode

Androidではバージョン4.3以降のJelly BeanとKitKatでBluetooth Low Energy (BLE)を正式サポートしたが、この時点では「Central Mode」と呼ばれる、いわゆるUSBにおける「ホストモード」のみのサポートにとどまっており、「Peripheral Mode」と呼ばれる周辺機器側が利用するBLEのモードを備えていなかった。これにより、Androidデバイスそのものを例えば「万歩計」として利用して他のデバイスにデータを送信するなど、接続先デバイスの幅を広げることが可能になる。

・マルチネットワーク対応

従来までのネットワーク接続の仕組みでは、Android本体が接続したWi-Fi等のネットワークを介してのみデータ通信を行う形だったが、特定のアプリが目的に応じてスキャンを行って特定のネットワークに再接続してデータ通信できるようになる。これは作業に応じて課金ネットワークを避けたり、あるいは品質を優先して接続先ネットワークを選ぶなど、より柔軟性い運用が可能になる。

・Advanced Camera API

新しく用意されたカメラ用APIでは、対応デバイスによってYUVの非圧縮データを直接イメージセンサからアプリへと吸い上げられるようになるなど、よりRAWに近いデータを取得できたり、あるいはカメラモジュールの細かいパラメータを制御したりと、よりプロフェッショナル用途でのアプリ活用が可能になる。

ゲーム開発者向けの新機能

OpenGL ES 3.1サポートのほか、OpenGL ES向けのAndroid Extension Pack (AEP)、テッセレーション、ジオメトリシェーダ、ASTCテクスチャ圧縮等の機能が利用できる。

●Android"L"の特徴 その3新ランタイム「ART」

これまでDalvikのJavaVMが利用されてきたAndroidだが、L世代以降ではKitKatで試験導入されていた「ART」がその役割を担うようになる。JIT (Just In Time)コンパイラ形式だったDalvikに比べ、ARTではAOT (Ahead Of Time)コンパイラに対応しており、パフォーマンス面でも優位になっている。より効率動作する新しいガベージコレクタ(GC)やデバッグツールも利用可能になっている。

64bit対応

ARM版リリースではAndroid初の64bitに対応した。パフォーマンスやメモリ利用量の面で有利なほか、アプリの動作にはJavaVMを利用するという特性上、既存アプリもそのまま新しい64bit環境で利用できる。また、ネイティブコードを動作させるNDKについても、64bit対応アップデートが行われている。

このほか、Google Play Services 5.0のアップデートが発表されている。「Services for Android wearables」といったAndroid搭載ウェアラブルデバイスとの連携を実現する新サービスのほか、Play Gamesでの新機能など、L世代に向けた改良が行われている点が特徴。

なお、Android L Developer Previewの提供は現地時間26日以降を予定しており、詳細はAndroid Developerの専用ページで公開される予定。Google Play Services 5.0については、数日中にも順次展開を開始していく予定だという。

ちなみに、"L"というのは仮の名称であり、今後Andorid次期リリースの正式版が提供開始された際に「Lで始まる単語」の正式名称が付与されるものとみられる。

(Junya Suzuki)