近年のエコブームで維持費の安さや扱い易さで注目を集める『軽自動車』。ダイハツのイースがJC08モードで30?/Lの高燃費を達成するなど、日本の軽自動車開発技術は着実に進化を遂げて来ました。これはある意味でガラパゴス的進化の成功事例とも言えそうです。



そもそも軽自動車の規格が制定されたのが1949年で既に62年の歴史が有り、その間に安全性や居住性向上などの厳しい試練を受けて日本の軽自動車は鍛えられました。


1955年 スズキ スズライト発売


90年代に入り、スズキが軽の制限枠の中で唯一ゆるい車高制限値に目をつけて、ルーフを1.68mにまで高めたワゴンRを1993年に発売して以来、『軽は狭い』という概念が打ち砕かれ、たちまち大ヒット。現在の軽自動車のデザインにも多大な影響を与えました。


1993年 ワゴンR 発売


その後、各社がトールワゴンタイプの軽を競って発売するようになったのはご存知のとおり。居住性が大幅に向上したことで、次第に軽をファーストカーに使う人が増え始め、バブル崩壊を機に大型車のステータスが薄れ、軽のコストパフォーマンスの高さが注目され始める事に。


ちなみに現在の軽自動車の規格(1999年制定)は全長 3.40m以下、全幅 1.48m以下 、全高 2.00m以下 、排気量660cc以下、定員 4名以下 、貨物積載量 350kg以下となっています。


これでも発足時の規格からすれば随分大きくなったとも言えますが、いくら軽いとは言え、あの小さい衝撃吸収スペースの中で普通車と同じ安全性能をクリアしなければならないのですから、開発陣の苦労が伺えるというものです。


2011年3月末時点の調査結果では全自動車に対する軽自動車のシェアは実に36.0%に達しているそうです。特に沖縄県、高知県、長崎県、島根県、和歌山県、鳥取県では半数以上が軽自動車が占めているそうで、今では無くてはならない存在にまでに。


そこで、軽自動車(貨物車含む)の販売推移が一目で判るグラフを作ってみました。元データは日本自動車販売協会連合会発表の物を使用。



震災の影響で2010年比では流石に落ち込んでいますが、それでも普通乗用車が販売累計(1〜8月)で昨年比で31%もダウンしている中、軽自動車は20%程度のダウンに留まっており、しかも月平均12万台ペースで売れている事が判ります。何と、月平均18万台ペースの普通乗用車販売にも迫る勢いなのです。



こうなると、そうでなくてもセダンが売れずに困っているディーラーで軽自動車販売を扱う動きが出て来るのも有る意味、自然な流れなのかもしれません。


そこで遂にトヨタも自社ブランドで軽の『PIXIS SPACE』発売に踏み切ったという事のようです。当面は子会社ダイハツの本業である軽自動車販売に配慮して、CMも打たないそうですが、やがては世間の認知度も高まり、日産+三菱連合との開発競争へと向かうのでしょう。



エコだけで無く運転時の取り回しが楽で、世の中のドライバー高齢化にも優しい軽自動車。今後もいい意味でガラパゴス化が進みそうな気配の軽自動車からも目が離せなくなりました。



こちらも併せてお読み下さい。 http://clicccar.com/2011/09/20/63084


(Avanti Yasunori )


【画像がすべて見られない方は>>> http://clicccar.com/66245



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