山西省の太原晋商博物館で27日、展覧会「晋商算学家・王文素と珠算文化」が始まった。同展の目玉の1つが「中国最大」とされるそろばんだ。

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 山西省の太原晋商博物館で27日、展覧会「晋商算学家・王文素と珠算文化」が始まった。同展の目玉の1つが「中国最大」とされるそろばんだ。中国新聞社が報じた。

 長さ6メートルで227けたまで表示できる。そろばんの珠(たま)は計1598個という。同展では他にも、各年代のさまざまなそろばんが展示されている。

 なお、記事は、立ち入り禁止線を越えて貴重なそろばんに手を触れている母子がいた理由については触れなかった。

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◆解説◆ 「227けたの数字」と言われてもピンとこないが、日本の国土(37万平方キロメートル)にくまなく1万円札を敷き詰め、理論上可能な大宇宙の果て(460億光年、1光年は約10兆キロメートル)まで積み重ねても、金額を示す数字のけた数は50程度。展示されたそろばんを使えばまったくの余裕で表示できることになる。

 山西省は明から清にかけて、穀物や塩の取り引きで巨額の利益を得る商人を輩出した。それにともない為替や両替が発達し、中国全国の金融業をリードした。同時期に日本では大阪などを中心に商品先物取引が高度に発達した。日中両国はそれぞれ、西洋の影響を強く受ける前に、世界トップレベルの「金融技術」を編み出していたと言える。

 そろばんの起源はアラブ説、バビロニア説、中国説などの諸説がある。日本には16世紀までには伝わった。中国のそろばんには「5」をあらわす珠が各けたに2個、「1」の珠は「5」個ある。日本ではそれぞれ、理論上必要な個数である1個と4個に減らし、そろばん全体も小型化して使いやすくしたモデルが普及した。(編集担当:如月隼人)



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