中道・立憲・公明の「早期合流」はやはり困難か…世論の支持はわずか1割、執行部を悩ます「統一会派」という現実策

2026年6月26日、合流協議体の設置で合意した各党代表(左から公明党・竹谷とし子代表、中道改革連合・小川淳也代表、立憲民主党・水岡俊一代表/写真:共同通信社)
これを衝撃的と見るか、当然の結果と納得するか――。
時事通信の7月の世論調査(10〜13日実施)で、中道改革連合、立憲民主党、公明党が合流すべきかどうか尋ねたところ、「合流すべきだと思わない」が47.3%と半数近かった一方、「合流すべきだと思う」は11.1%にとどまった。
3党は6月26日に今後の協力体制について合流を視野にした「協議体」設置で合意し、幹事長らで協議を進めている。今秋の臨時国会で「新たな体制」の発足を目指す方針で、今国会中に何らかの方向性を出すとみられるが、「世論の期待はわずか1割」という厳しい現実にどう向き合うのか。
公明系は全員当選、立憲系は大量落選…中道結成の「重い代償」
中道の小川淳也代表は7月17日の記者会見で「興味深く拝見している。率直に謙虚に耳を傾けるべきだ」としたうえで、「世論になびいていい場合と、逆風を真正面から受けながらやらなきゃいけないこともある。よく考えたい」と語った。

記者会見する中道改革連合の小川淳也代表(2026年7月17日、写真:共同通信社)
ここで中道の発足について、簡単に振り返っておく。
正月明けの突然の衆議院の解散に、立憲民主党と公明党の両党所属の衆議院議員が離党して新党「中道改革連合」を結成、選挙戦を戦ったが、結果は大惨敗。公示前の167議席から49議席に激減したうえ、候補者を選挙区で出さず比例代表に絞った公明系が28人全員当選。
一方、立憲系は21人の当選にとどまり、187人が大量落選した。その結果、当初想定していた衆院議員が先行して新党に入り、参院議員と地方議員は衆院選後に合流するという計画は、予定通りにはいかなくなった。「安全保障関連法」や「原発再稼働」など新党の基本政策が公明寄りと見られたことも、有権者の立憲離れにつながったとされる。
衆院解散直前の急な結党だったことから、新党移行への丁寧な説明がなされないまま選挙に突入したこともあり、特に立憲の参院議員には不信感が残り、3党合流が進まない要因にもなっている。
一方で、公明は当初の計画通り、早期の3党合流を求めている。中道結成から7月16日で半年となった。3党がいつまでも中途半端な状態でいいわけはなく、協議会設置で今後の3党の方向性について検討されているわけだ。
皇室典範でも賛否が分裂、合流協議を揺さぶる政策の溝
もともと合流に消極的な立憲は協議会設置段階から「合流ありきではない」という立ち位置だった。
協議会では「組織」「政策」「選挙対策」という主に3つのテーマについて問題点の洗い出しなどが行われている。組織の在り方については「新党結成」「合流」「政党連携や統一会派」の大きく3通りが検討されているようだが、見通しについて中道関係者は渋い表情でこう話した。
「国会は8日間の会期延長となりましたが、本来は17日が会期末で、そこが期限でした。しかし、国会がゴタゴタしていて、7月13日からの週はほとんど話を進められなかった。新たな会期末となる25日までが大詰め。組織の在り方について一定の結論は出すことになるだろうが、雲行きは怪しい。完全なる合流は難しいのではないか。ただ、公明系と立憲系が部分的に一緒になるというのはあり得ない。合流するなら両党丸ごとだし、今は合流が難しいということならば、統一会派からになるかもしれない」

今国会の8日間の会期延長に反対した中道改革連合の小川淳也代表(上段左から3人目)ら(2026年7月17日、写真:共同通信社)
3党は同床異夢だ。来年(2027年)4月の統一地方選挙は立憲と公明がそれぞれの政党で戦うことにはなっているが、協力の方法や再来年(2028年)夏の参議院選挙を考えると、トップダウンで動く公明は合流するのかしないのかの組織決定を急ぎたい。
地方議員と参院議員を抱える立憲ももちろん党の先行きが宙ぶらりんでは選挙で動きにくいが、選挙向けに慌てて中道を結成して大失敗した二の舞いとなるような拙速な合流は避けたい。中道は合流を推進したい立場だが、両党の異なる思惑のはざまで、十分なリーダーシップを発揮できずにいる。

記者団の取材に応じる立憲民主党の水岡俊一代表(2026年7月5日、写真:共同通信社)
政策面では、3党は皇室典範改正への賛否で見解が割れた。女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持すること、旧宮家の男系男子を皇族の養子に迎え、養子の子が男子なら皇位継承権を持つという改正典範が17日に成立したが、公明と中道は賛成したものの、立憲は現行の皇室典範が禁じる養子の制度化を問題視して反対した。この違いは、合流協議の行方に少なからず影響を与えるだろう。
「公明は元来、福祉と平和の党です。立憲もリベラル色が強いとはいえ、穏健保守もいる。基本理念として両党は根っこの部分はそこまで違わない。しかし、とはいえ公明は、自公連立で26年間与党だったため、まだまだ与党しぐさが残り、与党時代の政策を転換できないでいる。支持母体の創価学会の一部には、高市政権じゃなくなったらもう一度与党に戻りたいと考えている人もいますしね」(公明の事情に詳しい政界関係者)
落選者が訴える「学会アレルギー」、合流より連携を求める声
最大の焦点は選挙だ。
「再来年の参院選をどう戦うか。立憲と公明それぞれの現職がいる選挙区は、公明側が候補者を降ろすことになるのか。問題は比例代表だ。立憲は労働組合の組織内候補(再来年改選は5人)の当選が死活問題。公明側が『合流すれば学会票を立憲の比例候補に回す』と労組に呼び掛けているという話もある」(立憲関係者)
そして、中道の中も、現役と落選者で温度差がある。
2月の衆院選に中道から出馬し落選した立憲系の55人(元職45人、新人10人)が、7月9日、衆院議員会館の会議室に集まった。党主導ではなく「今後の政治活動に関する意見交換会」として有志が自主的に呼びかけたものだ。
当然、3党合流についての意見も出され、何らかの形で協力することに異論はなかったものの、「合流」のほか「連立のような連携」を模索できないか、との声があったという。
「公明とは連携した方がいいが、合流ではなく一緒に連立政権を目指すような第3の道を、という意見が多かったように思います。一旦、協議離婚してもいいのではという意見もありました。いずれも、その裏にあるのは公明・創価学会との距離感です。落選して地元を回っていると、支持者に“学会アレルギー”が強いことを皆ひしひしと感じている」(出席者のひとり)
実はこれが、かなり本質的な問題でもある。3党の単なる合流に否定的な小沢一郎前衆院議員に取材すると、こう言っていた。
「公明党と立憲民主党が合体した中道改革連合は選挙で国民から否定された。公明と一緒になること、中道に参議院を取り込むこと自体が悪いわけではないが、もっと広く、いろんな人に声を掛けながら相談してやらないと。全く新しい発想で国民に受け入れられるような集団を作らなきゃダメだ」

小沢一郎前衆院議員(写真:共同通信社)
秋の臨時国会での3党の連携は、新党や合流ではなく、ひとまず統一会派からというスタートになる可能性が高いのではないか。公明だけが先行して中道に合流するという案も出ていたが、「それでは中道が現状以上に公明に乗っ取られるだけ」(中道関係者)との懸念もある。実現すれば、中道の「公明色」が一段と強まったと受け止められ、世論の支持をさらに失うことになりかねない。

公明党の竹谷とし子代表(右)に、3党合流に関する協議体の設置を要請する中道改革連合の小川淳也代表(2026年6月19日、写真:共同通信社)
「万年与党・万年野党」を変えられるか、政権交代を掲げる小川代表の正念場
中道の小川代表は7月17日の会見で中道結成半年を振り返り、こう語った。
「苦渋に満ちた半年だった。国民の期待や信頼に応えられているかは、支持率の低迷を見れば決して十分とはいえない。そのことはよく自戒、自省したい。
戦後81年のうち76年間自民党が政権を担当している(編集部注:厳密には1955年の自民党結党以降の66年間)。まさに万年与党と万年野党。これが暫定与党と暫定野党になるべきで、そうなって初めて、互いの苦労、立場、経験における民主主義のインフラが整う。
50年、100年先のわが国の末永い繁栄をにらんで、政治の基幹的なインフラとしての政権交代が定期的に起こり得る枠組み、受け皿を作りたい。その必要性は微動だにしないし、その決意と確信にはいささかの揺らぎもない。
何としても、政権交代可能な受け皿を作る。有権者にとって真に選択肢があるといえる政治をつくる。その大義に立って、3党協議も平坦な道ではないが、大きな判断をしていこうと呼びかけられるように、自らを律していきたい」

記者会見する中道改革連合の小川淳也代表(2026年7月17日、写真:共同通信社)
今国会での高市早苗政権の野党を軽視した国会運営や「数の力」の暴走を考えれば、「政権交代可能な受け皿を作る」という小川代表の主張はもっともなのだが、それをどうやって実現させるのかは、もっと知恵を絞る必要があり、まだ誰にも見えていない。
筆者:小塚 かおる
