広島 RCC・坂上アナの書籍出版の原点は元カープ指揮官の言葉「書こうとすると聞く内容が変わるから」 実況のヒントは歌詞からも
広島で活躍するアナウンサーを紹介する新企画「ぶちええ話−地元アナ“広島愛”叫ぶ−」。第5回はRCC(中国放送)の坂上俊次アナウンサー(50)が本紙のインタビューに応じた。これまで700試合以上のカープ戦を担当してきた実況のプロ。実況当日のルーティンや書籍出版への思いなどを明かした。
−実況当日までのルーティンなどは。
「まず前日はカープの試合を見ます。次に当日の中継担当の日に投げる先発投手の先週の登板をチェックします。その後は細かいデータを実況ノートにまとめる。当日は18時試合開始なら、なるべく体力を温存できるように朝は遅く起きる努力をしますね。あとはあまり目を使わない。スマホやパソコン作業はなるべく避けてます。あとは実況の天敵のトイレ。昼食後はあまり水を飲まないように心がけています。実況歴二十数年でマツダでは1回も試合中にトイレに行ってないです」
(続けて)
「実況当日はなるべく選手への取材はしないようにしています。面白い話を聞くと、無理やりねじ込みたいという雑念が入ってしまう。やりたい取材は実況の前々日ぐらいまでには済ませていることが多いです」
−アナウンサーとして語彙(ごい)力を増やすためにしていることは。
「(スポーツジャーナリストの)二宮清純さんにどうやって勉強されていますかと聞いた時に、『スポーツの仕事をやろうと思うほど一般紙を、ニュースの仕事をやろうと思うほどスポーツ新聞や週刊誌を読みなさい』と教えていただきました。逆の語彙(ごい)に触れることで一番伝わる言葉が見つかるということです。あとは歌詞もよく参考にします」
(続けて)
「最近うまく表現できたのが持丸選手。育成からはい上がってきた野球人生をどう表現しようかと考えた時に、持丸選手から好きだと聞いたコブクロの『YELL〜エール〜』がぴったりだと思いました。『どんなに小さなつぼみでも凍える冬を越えればほら、春が来るたびに鮮やかな花が咲くのだから』『どんなに大きなつぼみでも凍えて冬に負ければほら、春の風さえ浴びぬまま枯れてゆくのだから』。彼の努力と、活躍しても謙虚な性格を表現しているなと思って使わせていただきました」
−これまでたくさんの書籍を出版されている。きっかけは。
「入り口は(元広島監督の)三村敏之さんです。『選手から聞いたことを放送でしゃべるだけじゃなく、書き物にしてみろ。書こうとすると聞く内容が変わるから』と。それから取材の意識が変わって、より細かく聞くようになりました。まずは雑誌の連載からのスタートでした」
(続けて)
「僕たちアナウンサーは本塁打を打ったとかコトが起こったあとをしゃべるんですが、コトが起こる前を伝えたいなと。コトが起こる前は映像がないので、伝えるには本しかないなと。2015年に当時のスカウト苑田スカウト部長に取材し、『惚れる力 カープ一筋50年 苑田スカウトの仕事術』を出版しました。その後、カープが3連覇。人生が後追い一辺倒だったのが、ちょっと前を拾えるようになったなと実感できた一冊でした」

