その敬語、実は全部間違いです…「お名前を頂戴できますか」「○○社長様」「おっしゃられた」のNG理由
人は言葉を「耳コピ」して使う。マナー・コミュニケーション領域の専門家である松原奈緒美氏は、上司や同僚が使っているそうした「ビジネス言葉」の中には、丁寧に言っているようで実は間違っている表現が存在するという。
【画像】『信頼される人がやっている ビジネス基本のふるまい事典』
そうした間違い言葉の適切な言い換え表現について、『信頼される人がやっている ビジネス基本のふるまい事典』(かんき出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。
実は間違い言葉①「お名前を頂戴できますか」
丁寧に話しているようで実は誤用表現の代表格といえるのが、名前を聞く際によく使われる「お名前を頂戴できますか」や「お名前をいただけますか」という表現です。
「頂戴する」「いただく」は「もらう」の謙譲語です。「お名前を頂戴する(いただく)」という表現は、フランクに言い換えると「名前をもらえる?」という意味なのです。名前は聞くもので、もらうものではありません。これは明らかな誤用です。
では、適切なのはどのような表現でしょうか。ここでは、一般的に使われる「聞く場合」と「書いていただく場合」の2パターンを説明します。
●お名前を聞く場合
聞くのは自分側なので、ここでは謙譲語の「伺う」「お聞きする」を使います。「お名前を伺ってもよろしいでしょうか」「お名前をお聞かせ願えますか」などの表現が適切です。
●書いていただく場合
書くのは相手側なので、謙譲語の「お(ご)~いただく」を使います。「お名前をご記入いただけますか」などが適切な表現ですね。
実は間違い言葉②「○○社長様」
役職名に「様」をつけるのは、敬称が重なる二重敬語です。正しくは、肩書→名前→様の順番です。なお、名前の後に肩書を入れる場合は「○○社長」と肩書のみで結構です。
シーン別の肩書についても確認しましょう。社外の場合、フォーマルな紹介シーンでは、正式な社名→正式な肩書→名前→様(例:○○株式会社 代表取締役 ○○ ○○様)と紹介します。正式な肩書とは、一般的には名刺に記載されている内容です。
その際、「様」か「殿」で迷う方もいるでしょう。「殿」は目上から目下にしか使えません。社外に対しては失礼にあたるので「様」を使います。「殿」が使われるのは、社内の辞令など、明らかに目上から目下の際などです。また、個人宛でなく、会社や部署あての場合は、敬称に「御中」を使用します。
なお、ときどき、社内にも「様」を使う方がいますが、社内に「様」は使いません「部長の○○さん」「○○部長」などが適切です。また、社外に社内の方を紹介する際は「社長の○○」などと肩書→名前呼び捨てで紹介しましょう。
実は間違い言葉③「○○様がおっしゃられた内容は」
「おっしゃられた」は二重敬語です。理由は「言う」の尊敬語「おっしゃる」に、尊敬語「れる・られる」がついており、尊敬語+尊敬語で、二重になるからです。正しくは「言う」の尊敬語「おっしゃる」だけを使い「おっしゃった」と言いましょう。
また、類似した表現「話す」に尊敬語「れる・られる」を使い「お話された」でもよいです。このように、丁寧に話しているようで、二重敬語になりやすい表現はたくさんあります。ここでは、使ってしまいやすい二重敬語の例を紹介します。
×「いらっしゃれる」 〇「いらっしゃる」
×「ご覧になられる」 〇「ご覧になる」
×「お越しになられる」〇「お越しになる」
×「お帰りになられる」〇「お帰りになる」
×「お持ちになられる」〇「お持ちになる」
×「お求めになられる」〇「お求めになる」
×「ご使用になられる」〇「ご使用になる」
このような尊敬語の二重敬語は、文法上の間違った表現です。内容が伝わりにくくなったり、相手が失礼だと感じることもありますので、注意しましょう。
文/松原奈緒美(まつばらなおみ) 写真/shutterstock
信頼される人がやっている ビジネス基本のふるまい事典
松原奈緒美

2026/3/4
1,870円(税込)
280ページ
ISBN: 978-4761278601
・お客様への手土産は最後にお渡しするようにしている
・乾杯ではグラス同士をカチンと当てる
・商談の場でスマートウォッチを身につけている
こうした何気ないふるまいが
「マナー違反」とみなされ
あなたの評価を下げているかもしれません。
「そこまで気にする必要ある?」と思うような些細なマナー。
ビジネスの場では、その細かさが、安心感や信頼感の礎になっています。
大人にとってのビジネスマナーとは、窮屈なルールではありません。
仕事をスムーズにし、損を減らし、味方を増やし、評価を底上げするための技術です。
ただ、マナーは誰も注意してくれないから、自分では間違いに気がつけない。
自分では間違いに気がつけないから、AIに尋ねることもできない。
本書は
「もう誰にもマナーを教えてもらえない」大人が
印象・信頼度アップにつながる基本のふるまいを
あらためて学び直すことができる一冊です。
”常に形式だけにこだわった対応をすべきだと言いたいわけではありません。大切なのは、正しい知識を知った上で、状況に合わせて上手に引き算できることです。これこそが、本当の意味でのマナー上手です。
マナーとは、相手目線で考え、その思いを行動で表すものです。私は研修や講演で「マナー上手は仕事上手。マナーで仕事は判断される」とお伝えしています。マナーを見れば、その人がどれくらい相手を尊重し、相手目線で仕事を進められるかが想像できるからです。”
──「はじめに」より
【目次】
はじめに
第1章 第一印象
第2章 身だしなみ
第3章 社内での過ごし方
第4章 社内での話し方
第5章 敬語と言葉遣い
第6章 ビジネス通信
第7章 電話応対
第8章 来客・訪問応対
第9章 オンラインコミュニケーション
第10章 会食シーン
第11章 ギフトと冠婚葬祭
おわりに

