じつは、昼と夜では全然違う…ブドウの収穫時間でワインの「香り」は、一変…最新の研究で判明した、夜間収穫で起きる「驚愕の効果」

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一滴の雫に満たされている、数千年にわたる叡智……。

もはや国民的な飲み物の一つとなったワイン。近年、日本産ワインも急成長していることはご存知の方も多いと思いますが、さらに注目を集め始めているビオワイン、オレンジワインはご存知でしょうか。

ワインは、単なる嗜好品にとどまらず、人類が長い時間をかけて磨き上げてきた文化の産物として多くの人々を魅了し続けています。しかし、グラス一杯の背後には、ブドウ樹の生理、発酵微生物の働き、 果汁やワインに含まれる化合物の化学反応、といった、さまざまな科学的要素が複雑に絡み合っています。

ワインの原料となるブドウの最新の栽培技術、醸造技術から、おいしさ、香り、健康効果はもちろん、温暖化によるブドウ栽培の変化など、ワインの魅力を科学の言葉で説明した『最新 ワインの科学』(講談社・ブルーバックス)。本記事シリーズでは、この書から、興味深いトピックを選りすぐってご紹介していきます。

今回は、近年注目を集める夜間収穫の科学と、ブドウの香りを左右する意外な仕組みについて解説します。

*本記事は、『最新 ワインの科学 芳醇な香りと味わいはどのように生まれるのか』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。

香りは夜つくられる?

近年、夜間にブドウを収穫する「ナイトハーベスト(夜間収穫)」を導入するワイナリーやブドウ栽培家が増えています。日中に収穫した果実は熱を帯びやすく、その結果、果汁の品質が低下するおそれがあります。これを防ぐために考案されたのがナイトハーベストです。そして近年の研究により、ナイトハーベストがブドウ由来のアロマを高めることが明らかになってきました。

メルシャン株式会社と筆者らのグループは、開花16週目のシャルドネ果実を数時間ごとにサンプリングした結果、3MH前駆体蓄積量が深夜から早朝にかけて増加し、日中に減少する日周性を示すことを明らかにしました(図「果実における3MH前駆体の日内蓄積変動パターン」)。

この傾向は、ソーヴィニヨン・ブランや甲州、リースリングなど、他の白ワイン用品種でも確認されています。この結果は、ナイトハーベストにより造られたワインの優位性を科学的に示した初めての報告となりました。

ただし、すべての香り物質が夜間に増加するわけではありませんが、ブドウがもつ生理リズムが香り物質の合成に深く関わっているのは確かなようです。これらの関係解明が今後の重要な研究課題となります。

次回は、病気にかかったブドウから生まれる奇跡のワイン「貴腐ワイン」の美味しさの秘密について解説します。

【続きを読む】奇跡…なんと、かび感染が生み出す「極上ワイン」が存在…科学では再現できない「驚きのメカニズム」